いま現在の暦では1年間を12ヶ月に分けて、
1年間は1月から始まり12月で終わるというのが常識です。
ですが以前まで私たちが使用していた暦は旧暦と言われるもので、
暦が旧暦のときは1年間の始まりは睦月から始まっていました。
いま現在ではこのような月の呼び方をすることはほとんどないですが、
旧暦の月名やその由来などを覚えておくとたまに役に立つときがあります。
そこでこのページでは、旧暦の月(睦月、如月、弥生・・・)の意味と読み方、由来を簡単に解説しています。
目次
旧暦の各月における意味・読み方・由来は、簡単にまとめると下の表のようになります。
旧暦の各月における季節と意味・読み方・由来のまとめ
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いま現在の暦(新暦のこと)では1年間は1月から始まり12月で終わりですが、
上の表のように旧暦のときは1年間は”睦月”から始まり”師走”で終わっていました。
いま現在の暦である新暦に変更になったのは1873年(明治6年)のことなので、
その頃から1年間が”睦月~師走”ではなく”1月~12月”という表し方に変わりました。
また旧暦における各月の由来について上の表だけでは、いまいち分かりにくいですよね。
このページの最後の章で旧暦における各月の由来について詳しく解説していますので、
イメージしにくい人はそちらの方をご覧ください。
さて次の章で旧暦と現在の暦では季節にずれがあることについて、解説していきます。
結論から言ってしまうと旧暦の月といま現在の月では、
だいたい1ヶ月から2ヵ月分ぐらいの季節のずれがあります。
なぜこんなにも旧暦の月と現在の月でずれが生じてしまうのかというと、
それは旧暦から現在の暦(新暦)に切り替えたときの影響によるものが大きいです。
旧暦では天保暦(太陰太陽暦のひとつ)が使用されていましたが、
明治5年(1872年)12月2日を最後の日としてグレゴリオ暦(太陽暦のひとつ)に切り替えられました。
(グレゴリオ暦こそが私たちがいま現在でも使用している暦になります)
ですが旧暦から新暦(現在の暦)に切り替えられる際に、
本当は明治5年の12月3日からとするところを明治6年の1月1日からと日付を改めました。
これによって事実上、明治5年12月3日から先の12月の日数分の期間がなくなり、
だいたい1ヶ月ほど旧暦と現在の暦(新暦)にずれが生じることになります。
さらにいま現在の暦ではだいたい4年に1度うるう年を設けて1年間に1日だけ足すことで、
季節と暦に生じるずれを調整していますが、旧暦では1年間に11日ものずれが発生していました。
なので旧暦だと3年間で33日(約1ヶ月)分のずれが生じてしまうため、
3年間に1度うるう年を設けて、うるう月という丸1ヶ月分を1年間に足して13ヶ月にしてずれを調整していました。
このように旧暦から新暦に切り替わる際に発生した約1ヶ月分のずれと、
旧暦における1年間ごとに発生するずれによって、旧暦と新暦では最大でだいたい2ヵ月分のずれが生じてしまうんですね。
以上のことを踏まえて、旧暦の月と現在の月の季節のずれを簡単にまとめると下のようになります。
旧暦の月と現在の月における季節のずれ
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※現在の季節に関しては、気象庁によって区分されたものを表に記載しています。
上の表のように旧暦の月と現在の月では、だいたい1ヶ月~2ヶ月分季節がずれています。
なので旧暦の月における由来についてはいま現在の月での季節のことではなく、
いま現在の季節からだいたい1ヶ月~2ヶ月分ずれているものだと認識してください。
さて次の章では旧暦における各月の由来について詳しく解説していきます。
はじめの方でも貼っていましたが、再び旧暦の月の由来についてまとめた表を貼っておきます。
旧暦の各月における季節と意味・読み方・由来のまとめ
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旧暦における各月の由来には諸説あって、
ここで解説するのはその中でも由来として有力とされている説です。
(上の表でまとめられている説のことです)
では旧暦における各月の由来について詳しく解説していきます。
睦月(むつき)の由来は、親戚や知人が集まって仲睦(むつ)まじくする月という意味からです。
睦月とは旧暦における1月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの1月下旬~3月上旬にあたります。
お正月に家族や親せきが集まり、仲睦まじく(仲良く・親密に)過ごすことから”睦び月(むつびつき)”と呼ばれ、その”睦び月”が略されて旧暦における”睦月(むつき)”になったという説が有力です。
旧暦でなく新暦のいまでもお正月になると家族や親せきで集まって、
美味しいご飯を食べたりして盛り上がりますよね。
如月(きさらぎ)の由来は、寒くなり衣を更に重ねて着る”衣更着(きさらぎ)”からです。
如月とは旧暦における2月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの2月下旬~4月上旬にあたります。
もともと如月は中国で使用されていた2月の名称のことで、
中国では”如月(きさらぎ)”ではなく”如月(にょげつ)”と呼ばれていました。
そして”如”という字には”従う”という意味があってこれは、
何かが動き出すと他のものも動き出すという意味で使用されています。
冬という季節は植物や動物などの動きが活発でない(冬眠する)時期であり、
その冬の後の季節である如月はそれらが徐々に動き始める時期でもあります。
このような理由から如月という言葉が、旧暦の2月(現在では2月下旬~4月上旬)になっているんですね。
如月を”にょげつ”ではなく”きさらぎ”と読むようになったのは、以下の説が有力とされています。
新暦(現在の暦)では如月は2月下旬から4月上旬のことになるので、
この時期から少しずつ暖かくなり始めますが、そのあと一旦また寒さがぶり返す時期でもあります。
このように少しずつ暖かくなる時期ではありますが、再び寒さがぶり返す時期なために、
一旦脱いだ衣(服)を更に着るという意味から”衣更着(きさらぎ)”と呼ばれるようになりました。
この”衣更着(きさらぎ)”が如月の読み方となり、
旧暦における月名の”如月(きさらぎ)”になっています。
弥生(やよい)の由来は、”弥(いよいよ)”草木が”生い”茂るという意味からです。
弥生とは旧暦における3月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの3月下旬~5月上旬にあたります。
如月の頃には草木(植物)はまだ動き始めた段階で活発ではありませんでしたが、
弥生になると草木の活動が活発になるので生い茂っていきます。
弥生(やよい)はもともと”弥生(いやおい)”が変化したとされるもので、
”弥(いや)”は「いよいよ」「ますます」で、”生(おい)”は「生い茂る」の意味となります。
このように弥生とは寒い時期(冬)が終わりを迎え、草木が生い茂る時期のことを意味しているんですね。
※卯の花(ウツギの花)の写真
卯月(うづき)の由来は、卯の花(ウツギの花)が咲く月という意味の”卯の花月”からです。
卯月とは旧暦における4月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの4月下旬~6月上旬にあたります。
卯の花(ウツギの花)が開花するのは5月中旬~6月頃で、
旧暦ではこの卯の花が咲く時期のことを”卯月”と呼んでいたという説が有力です。
卯の花はウツギの花とも呼ばれ、卯の花の茎の中が空洞になっていることから、
”空木(ウツギ)の花”と呼ばれるようになりました。
※写真中で植えられているのが早苗(若い稲の苗)
皐月(さつき)の由来は、田に早苗(若い稲の苗)を植える月という意味の”早苗月”からです。
皐月とは旧暦における5月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの5月下旬~7月上旬にあたります。
稲の苗というのは田植えができるようになるまである程度育てる必要があって、
田植えを行うことができるまで育った苗のことを”早苗(さなえ)”と言います。
そしてこの時期は田んぼに若い稲の苗である早苗を植える月ということから、
早苗を植える月なので”早苗月(さなえづき)”となりました。
その”早苗月”が略されて旧暦の”皐月(さつき)”になるのですが、
もともとさつきの”さ”という字自体に苗植えや耕作の意味があります。
さらに皐月の”皐”という漢字があてられているのも、
”皐”という字には”神に捧げる稲”という意味があることから皐月となったようです。
水無月(みなづき)の由来は、”無”は”の”を意味し、田んぼに再び水を引く月という意味の”水の月”からです。
水無月とは旧暦における6月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの6月下旬~8月上旬にあたります。
水無月には”無”という漢字があるので”水が無い月”と覚えている人も多いのですが、
実は水無月の”無”は”ない(存在しない)”ということを表しているのではありません。
これは古い日本語の使い方で、”な”は現在の意味における”の”を意味していることから、
水無月は”水の月”を意味していることになるんですね。
ではなぜ旧暦における6月(現在の6月下旬~8月上旬)が”水の月”になるのかと言うと、
それは水が抜かれた田んぼに再び水を引くための作業が行われるからです。
※中干し作業後の田んぼの写真
旧暦の前の月である皐月には田んぼに早苗を植えていますが、
そのあと水無月になると一旦”中干し”と呼ばれる田んぼの水を抜く作業があります。
(田んぼの中干しが行われるのは、現在の暦でいうところの7月下旬あたりです)
そして中干し作業が終わると再び田んぼに水が引かれるので、
旧暦の6月は”水の月”である水無月になったということです。
文月(ふみづき)の由来は、七夕のとき短冊に歌や字(文)を書いていたことからです。
文月とは旧暦における7月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの7月下旬~9月上旬にあたります。
いまでは七夕になると短冊に願い事を書くというのが一般的ですが、
昔は願い事ではなく歌や字(文)を書いて、書道の上達を祈っていたそうです。
そのような七夕の風習に因(ちな)んで、旧暦の7月は”文披月(ふみひらきづき)”と呼ばれるようになりました。
”披(ひら)くは閉じてあるものを開ける”という意味があることから、
”文(ふみ)を広げて晒(さら)す月”という意味で文披月です。
その文披月がのちに旧暦の月である”文月(ふみづき)”になったとされています。
葉月(はづき)の由来は、葉が落ち始める時期という意味の”葉落ち月”からです。
葉月とは旧暦における8月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの8月下旬~10月上旬にあたります。
葉月は旧暦では8月ですが、新暦(現在の暦)だと8月下旬~10月上旬と秋のことを指します。
そして秋になると青々としていた葉の色が黄色や赤色に変化しはじめ、
木から葉が落ちてしまう”落葉(らくよう)”が始まる時期です。
このように葉が落ち始める月という意味の”葉落ち月”から由来しており、
最終的にはその葉落ち月が略されて”葉月”になったとされています。
長月(ながつき)の由来は、夜がだんだんと長くなり始める月という意味の”夜長月”からです。
長月とは旧暦における9月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの9月下旬~11月上旬にあたります。
この時期ぐらいになると日が昇っている時間が少しずつ短くなっていき、
日が落ちる夜の時間が長くなるため、”夜長月(よながつき)”と呼ばれました。
よく聞く言葉に夏至と冬至がありますが、夏至(6月21日前後)は”最も夜が短くなる日”で、
冬至(12月21日前後)は”最も夜が長くなる日”だとされています。
なので夏至を過ぎて冬至に近づくにつれて少しずつ夜が長くなることを、
昔の人もいまと同じように感じていたということです。
そしてこの夜長月が略されて、旧暦の月である”長月”となったんですね。
神無月(かんなづき)の由来は、全国の神々が出雲大社に集まる”神の月”からです。
神無月とは旧暦における10月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの10月下旬~12月上旬にあたります。
旧暦の10月になると全国の八百万(やおよろず)の神様たちが、
島根県にある出雲大社へと会議のために集まるものだと考えられていました。
旧暦の6月である水無月と考え方は同じで”無”は”ない”ではなく”の”を意味するので、
神無月に関しても”神のいない月”ではなく”神の月”という意味で捉えます。
これにより旧暦の10月は全国から神様が集まる月ということから、
”神無月(=神の月)”と呼ばれるようになったんですね。
また他にも神無月の”無”をそのまま”ない(=存在しない)”という意味で捉えて、
神様がいなくなった地域では旧暦の10月を”神無月(かみなしづき)”と呼んでいたり。
反対に全国から神様が集まる地域(出雲)では、”神在月(かみありつき)”と呼ばれていたという説もあります。
※植物に霜(氷の結晶)が付いている写真
霜月(しもつき)の由来は、霜が降り始める月という意味の”霜降り月”からです。
霜月とは旧暦における11月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの11月下旬~1月上旬にあたります。
段々と寒くなり霜が降り始める月という意味の”霜降り月・霜降月(しもふりつき)”が、
旧暦の11月である霜月の由来とされる説で有力とされています。
そしてその霜降り月が略されて、旧暦の11月である”霜月”になったんですね。
霜は秋の終わりごろから冬にかけて降り始めるものなので、
植物などに霜が降り始めたら「そろそろ冬になるんだなあ」と思って良いでしょう。
ちなみに現在の日本における初霜(はつしも)は場所によっても時期は異なりますが、
北海道では10月中に降り始めて、東京などでは12月下旬頃になることも多いです。
このように場所によって霜が降り始める時期というのは大きく異なります。
師走(しわす)の由来は、僧(お坊さん)がお経を唱えるため、各地を忙しく走り回ることからです。
師走とは旧暦における12月のことを指していますが、
実際に現在の暦でいうところの12月下旬~2月上旬にあたります。
師走の”師”というのは師匠のことを意味しているのではなく、
僧(お坊さん)のことを意味しており、僧などを敬っていう場合の言い方になります。
(他にも師は教師のことを表して、学校の先生も忙しく走り回る月という説もあります)
昔から年末にはお坊さん(僧)に自分の家まで来てもらい、
お経を唱えてもらうというような風習がありました。
いまではこのような風習はあまり残っていませんが、
それだけ昔は年末になるとお坊さんにとってとても忙しい時期だったのですね。
ちなみに”師走(しわす)”という読み方は当て字で、
普通に読むと師走をしわすとは読むことはできません。
いまでこそ師走と言えばしわすと読むのが常識となっていますが、
師走(しわす)については当て字だということを覚えておきましょう。
以上が「旧暦の月(睦月、如月、弥生・・・)の意味と読み方、由来とは?」でした。
これまで説明したことをまとめますと、
<旧暦の月の意味・読み方・由来まとめ>
⇒西暦とは何か?西暦はいつから使われた?西暦・和暦・干支の早見表!
⇒1世紀は何年のこと?21世紀はいつから?22世紀までの早見表あり
⇒2月が28日しかない理由とは?なぜうるう年は2月に調整される?
<覚えておきたい知識>
鉄火巻きの具材は?、クリスマス・イヴはいつ?など
哀悼、重複、出生、集荷など
(写真あり)カラーボックス、ACアダプターなど
(写真あり)メンマ、かんぴょう、マシュマロなど
(地図あり)軍艦島、淡路島、屋久島など
≪名前は知っているけどわからないもの≫
(写真あり)アヒージョ、マリトッツォなど
(写真あり)磯(いそ)、沿道、郊外など
(写真あり)うなじ、くるぶし、土踏まずなど
<豆知識>
(写真あり)カレーの容器、視力検査の器具など