1.打ち水で気温が下がる原理

 

結論からいってしまうと打ち水で気温が下がる原理は、”地面に水をかけると、水が水蒸気(気体)に蒸発するときに地面の熱(気化熱)を奪い、その水蒸気が奪った熱を持ったまま空気中へと出ていくことで地面の温度が下がり、それに伴い周囲の空気の温度(気温)も下がるから”です。

 

 

では打ち水で気温が下がる原理について、下の順番で詳しく見ていきましょう。

  • 1.1 地面に水をかけると、その水は地面の熱(気化熱)を奪って水蒸気に変化し、地面から奪った熱を持ったまま空気中へと出ていく(地面の温度が下がる)
  • 1.2 地面の温度が下がり、温度の下がった地面と接している空気の温度(気温)も下がる
  • 1.3 (ちなみに)地面の温度が下がることで、地面から放出される赤外線も弱くなるため体感温度も下がる

 

 

1.1 地面に水をかけると、その水は地面の熱(気化熱)を奪って水蒸気に変化し、地面から奪った熱を持ったまま空気中へと出ていく(地面の温度が下がる)

 

地面に水をかけると、その水は地面の熱(気化熱)を奪って水蒸気に変化(蒸発)し、地面から奪った熱を持ったまま空気中へと出ていきます(地面の温度が下がります)

 

 

まず地面に水をかけると、その水は地面に蓄えられている熱を奪って水蒸気に変化(蒸発)します。

 

(水は100℃で沸騰(液体の表面だけでなく内部からも気体に変化)しますが、100℃に達していなくても蒸発(液体の表面からのみ気体に変化)はしています

 

 

そして上図のように水蒸気に変化すると、その水蒸気は地面から奪った熱(気化熱)を持ったまま空気中へと出ていくため、これにより地面の温度が下がります。

 

 

また、このとき打ち水に使用する水の温度が低いほど、地面から多くの熱を奪うことができるため地面の温度は下がりやすくなります。

 

 

1.2 地面の温度が下がり、温度の下がった地面と接している空気の温度(気温)も下がる

 

地面の温度が下がると、温度の下がった地面と接している空気の温度(気温)も下がります

 

(気温は、”通常、地上1.5mの高さの風通しの良い日陰(一般的には百葉箱の中)で計った空気の温度”を指します)

 

 

上図のように地面の温度が下がることで、地面の方が地面に接している空気よりも温度が低くなるため、地面に接している空気から地面が熱を奪ってその空気を冷やします。

 

(熱は必ず温度の高い方から温度の低い方へと移動します)

 

 

そして上図のように地面に接している冷やされた空気の周囲に存在する温度の高い空気から熱を奪っていくことで、打ち水をした地面の周辺に存在する空気の温度(気温)が下がっていく、というわけです。

 

(地面が空気から奪った熱は、地面に水分が残っていれば再び蒸発して空気中へと逃がすため、この流れを繰り返していくことで地面周辺の空気の温度が下がっていきます)

 

 

1.3 (ちなみに)地面の温度が下がることで、地面から放出される赤外線も弱くなるため体感温度も下がる

 

(打ち水によって気温が下がる原理ではないですが)打ち水で地面の温度が下がることで、地面から放出される赤外線(電磁波の一種)も弱くなるため体感温度も下がります

 

すべての物質からはその物質の温度に応じた電磁波(エネルギーを伝える波)が放出されており、例えば人間の体(体温は約36~37℃)からは赤外線、太陽(表面温度は約6000℃)ぐらいの高温になると電波・赤外線・可視光線・紫外線・エックス線・ガンマ線などの様々な電磁波が放出されています。

 

電磁波の中でも赤外線は物質に吸収されやすく、物質に吸収されると熱に変換されることでその物質の温度を上げます。

 

温度の高い物質からは強い赤外線(物質に吸収されると物質内で大きな熱に変換)が放出され、温度の低い物質からは弱い赤外線(物質に吸収されると物質内で小さな熱に変換)が放出されます

 

 

なので上図のように打ち水によって地面の温度が下がることで、地面から放出される赤外線も弱くなる(皮膚で吸収しても小さな熱にしか変換されない)ため体感温度も下がる、というわけです。

 

2.打ち水が逆効果になってしまう場合

打ち水を行う環境によっては逆効果になってしまう場合もあるので、下の順番でそれぞれ見ていきましょう。

  • 日中の直射日光の当たる場所(水がすぐに蒸発する⇒蒸し暑くなる)
  • 風通しの悪い場所や密閉された場所(湿度の高い空気がこもる⇒蒸し暑くなる)

 

 

日中の直射日光の当たる場所(水がすぐに蒸発する⇒蒸し暑くなる)

 

日中の直射日光の当たる場所に打ち水をしても、一時的には涼しく感じられますが、水がすぐに蒸発してしまい、打ち水をした周辺の空気の湿度が高くなることで蒸し暑く感じます

 

(風通しの良い場所であれば湿度の高い空気もすぐに風で流されていきますが、直射日光の当たる場所では何度も打ち水をしないと地面の温度がなかなか下がらないため効率が悪い)

 

 

直射日光が地面に当たっているということは、常に太陽から地面に(熱に変換するための)エネルギーが送られているということ(太陽光には赤外線が含まれる)です。

 

地面の熱が多いほど水は蒸発しやすくなるので、直射日光が当たっている場所では打ち水をしても水はすぐに水蒸気に変化し、それが周辺の空気に溶け込み湿度がすごく高くなってしまいます。

打ち水の効果を長続きさせるのに適した時間帯は、”気温がまだ上がっていない朝(5時~8時頃)”や”気温が下がりつつある夕方(18時~19時頃)”で、日中に打ち水をする場合は風通しの良い日陰で行うのが良いです。

 

 

そして湿度が高いほど汗が蒸発しにくくなり、それにより体から熱(気化熱)が奪われなくなるため蒸し暑くなる、というわけです。

 

(湿度が10%高くなると、体感温度が約1℃上がると言われている)

 

 

風通しの悪い場所や密閉された場所(湿度の高い空気がこもる⇒蒸し暑くなる)

 

風通しの悪い場所や密閉された場所では、水蒸気によって湿度の高くなった空気がこもってしまうため蒸し暑く感じます

 

 

蒸し暑く感じる理由は直射日光の当たる場所で打ち水を行う場合と同じですが、
直射日光の当たる場所では風通しが良ければ湿度の高い空気はすぐに風で流されるため蒸し暑い状態が解消しやすいです。

 

ですが風通しの悪い場所や密閉された場所では、湿度の高い空気が流れていかずに同じ場所に留まるので、湿度の高い蒸し暑い状態が続いてしまうので注意が必要です。

 

以上が「打ち水で気温が下がる原理をわかりやすく図で解説!」でした。

 

 

3.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • 打ち水で気温が下がる原理は、”地面に水をかけると、水が水蒸気(気体)に蒸発するときに地面の熱(気化熱)を奪い、その水蒸気が奪った熱を持ったまま空気中へと出ていくことで地面の温度が下がり、それに伴い周囲の空気の温度(気温)も下がるから”。
  • 打ち水で地面の温度が下がることで、地面から放出される赤外線も弱くなるため、気温だけでなく体感温度も下がる。
  • 直射日光の当たる場所や風通しの悪い場所で打ち水を行うと、急激に空気の湿度が高くなることで蒸し暑くなって逆効果になる。

 

 

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