さて何かモノを触ったときに温度が高い・低いと感じるように、
その物質が持っている熱の量によって私たちが感じる温度が異なります。
例えば冷たいモノに触っていれば人間の体温は下がっていき、
反対に熱いモノに触っていれば人間の体温は上がっていきます。
このように熱は温度が高いモノから低いモノへと移動していきますが、
なぜ熱が温度の高い方から低い方へ移動するのか理解している人は少ないです。
そこでこのページでは、物質の熱が温度の高い方から低い方へと移動する仕組みを解説します。
どうぞご覧ください。
では物質の熱が温度の高い方から、低い方へと移動する理由を見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、物質を構成している分子の運動が激しい方(温度が高い)から、
他の分子の運動が穏やかな方(温度が低い)へと伝わるからです。
さて分子という少し難しい話が出てきましたが、簡単なので順序立てて解説していきます。
まず物質は分子と言われるたくさんの小さな粒で構成されていて、
物質の温度はその物質を構成している分子の運動の激しさによって決まります。
液体の水を例にして見ていくと下図のようになります。
上図の黒い丸枠が水(液体)のことを表していて、
水は水分子と言われる小さな粒がたくさん集まって構成されています。
そして上図のように水を構成する水分子の運動によってその水の温度が決まり、
水分子の運動が激しければ温度が高くなり、運動が穏やかであれば温度は低くなります。
ここでは水を例にして解説していますが、基本的にはどんな物質も小さな粒である分子などから構成されているので、
ここで解説した水のときと同様に考えることができます。
次に温度はその物質を構成している分子の運動によって決まり、
物質の温度はその物質の持っている熱の量によって高いか低いかが決まります。
つまり物質の持っている熱というのは、その物質を構成している分子の運動そのものなんですね。
この関係を簡単にまとめると下のようになります。
では次の章で本題の熱が移動することについて見ていきましょう。
関連:熱と温度の違いとは?
ここからが物質の熱が温度の高い方から低い方へ移動する理由についての本題です。
物質の熱は温度の高い方から温度の低い方へと移動しますが、
熱が移動するということは分子同士が衝突することを意味しています。
例えば”温度の高い物質A”から”温度の低い物質B”へと、熱が移動する場合は下図のようになります。
上図のように”温度の高いAという物質(分子の動きが激しい)”から、
”温度の低いBという物質(分子の動きが穏やか)”へと熱(分子の運動)が移動しています。
このとき温度の高い物質Aの分子の運動は少し穏やか(温度は低く)になり、
温度の低い物質Bの分子の運動は少し激しく(温度は高く)なります。
ではなぜ物質の熱は温度の高い方から低い方へしか移動しないのかというと、
それは2つのボールが衝突したときのことを考えてみると分かるはずです。
動きの速い(激しい)ボールを動きの遅い(穏やかな)ボールにぶつけてみると、
ぶつかった衝撃で動きの速いボールは少し動きが遅くなります。
反対に動きの遅いボールは動きの速いボールとぶつかった衝撃で、動きが速くなります。
温度の高い物質から温度の低い物質へと熱が移動するのも、
この異なる速さのボールがぶつかったときと同じような考え方をすれば良いわけです。
そしてたとえボールがどちらからぶつかっていったかが違っても、
結果は同じで動きの速いボールから遅いボールへと運動が大きくなります。
これが熱が必ず温度の高い物質から温度の低い物質へと移動する理由になります。
以上が「なぜ熱は温度が高い方から低い方へと移動するのか?」でした。
これまで説明したことをまとめますと、