さてあなたは温度というものをご存知でしょうか。
私たちの身の回りでは理解しているようで、
実はそのことについてほとんど理解していないものがたくさん存在します。
温度もその中のひとつで意味は知っていても、
温度について詳しく理解している人は少ないように感じます。
そこでこのページでは温度とは何か?
また物体の状態変化と温度の関係について簡単に解説します。
どうぞご覧ください。
目次
では温度とは何か見ていきましょう。
温度(おんど)とは、物体の熱さ・冷たさ(暖かさ・寒さ)という度合いを表したものです。
人によって熱い・冷たいと感じる基準が違うので、
ただ単に熱い・冷たいだけでは正しく測定することはできません。
そこで物体の熱さ・冷たさを誰でも同じく捉えることができるように、
温度という物体の熱さ・冷たさの度合いを表す指標が生まれました。
また温度といっても種類はいくつもあり、
絶対温度・摂氏・華氏・列氏・蘭氏などが挙げられます。
上記の種類の中で私たちが日常的に使用している温度の種類が、
摂氏(セルシウス度)で、[℃]という単位で物体の温度が表されます。
世界的に広く普及している温度の指標は摂氏ですが、
地域によっては摂氏以外の種類が使用されている場所もあります。
次の章では温度の高さは何で決まるのかを解説します。
では温度の高さは何で決まるのか見ていきましょう。
結論から述べると物体の温度の高さは、
その物体を構成している原子・分子の運動の大きさで決まります。
物体は何でも原子・分子という目に見えない小さな粒で構成されていて、
その原子・分子が運動することでその物体の温度の高さが決まります。
簡単に言えば、その物体の原子・分子の運動が激しい(動きが速い)ほど温度は高くなり、
反対に運動が穏やか(動きが遅い)であればその物体の温度は低くなります。
水(液体)を例にして見てみましょう。
まず水は水分子という小さな粒がいくつも集まることで構成されています。
そして水の温度が低いとき・高いときを表すと下図のようになります。
このようにその物体の温度の高さは分子の運動の大きさで決まっています。
そして一般的に物体の温度が異なるのは、
その物体の持っている熱の大きさが異なるからです。
その物体の持っている熱が大きければ温度は高くなり、
その物体の持っている熱が小さければ温度は低くなります。
実はこの物体の持っている熱の大きさと分子運動というのは同じことを指しています。
物体の温度の高さが原子・分子の運動の大きさで決まるのですから、
原子・分子の運動の大きさ=その物体の持っている熱エネルギーということになります。
簡単に関係をまとめると下記のようになります。
⇒物体の温度が高くなる
⇒物体の温度が低くなる
なので温度を別の言葉で言い換えると、
その物体がどのぐらいの熱エネルギーを持っているかを表す指標ということです。
ちなみに注意してもらいたいこととして、
物体の温度が高くなるのは先に物体の運動が激しくなるからです。
物体の温度が高くなるから分子の運動が激しくなるのではなく、
あくまでも分子の運動が先にあっての温度変化になりますので注意してください。
関連:熱と温度の違いとは?
次の章で物体の状態と温度変化の関係について解説します。
では物体の状態変化と温度の関係について見ていきましょう。
物体には固体・液体・気体の3つの状態が存在していて、
その物体の温度が変化することで物体の状態も変化します。
例えば氷(固体)を熱していけば水(液体)になり、
その水(液体)をさらに熱していくといずれ水蒸気(気体)に変化します。
このように物体の状態が変化することを状態変化と言います。
この物体の状態変化を分子の運動という観点から解説していきます。
下図は固体・液体・気体それぞれの状態における分子の運動の様子を表したものです。
このそれぞれの状態と物体の温度の高さは大きく関係しています。
はじめの方でも言いましたが、物体の温度の高さを決めるのは、
その物体を構成している原子・分子の運動の大きさです。
物体の温度の高さ=原子・分子の運動の大きさということを理解したうえで、
それぞれの状態変化について見ていくと分かりやすいです。
一般的に状態変化はその物体の温度が高くなっていくと、
固体→液体→気体の順番で変化していきますよね。
このとき物体の状態変化に必要なのは表面的に見れば温度を上げていくことですが、
状態変化の本質は分子の運動を大きくさせて分子同士の繋がりを切ることにあります。
なので物体が状態変化するのは温度を高くしていくことで、
分子の運動が大きくなり分子同士の繋がりが切れるからなんですね。
そして氷(固体)が溶けて水(液体)になり始める温度は0度で、
水(液体)が水蒸気(気体)になる温度は100度です。
これはあくまでも水分子同士の繋がりが切れ始める温度なわけで、
その分子の種類によって繋がりの切れやすさ(状態変化のしやすさ)が異なります。
ただ単に物体の温度が高くなるから固体が液体になるという覚え方でも良いですが、
このように分子同士の考え方を知っていた方が何かと便利なので覚えておきましょう。
物体が温度変化するのは、物体の持っている熱が他の物体に移動するからです。
温度の高い物体に温度の低い物体を当てると、
温度の高い物体は少しずつ温度が下がっていきますよね。
これは温度が高い物体から低い物体に熱が移動しているからです。
このように熱というのは温度の高い物体から、低い物体に移動していきます。
そして物体の持っている熱が他の物体に移動するということは、
物体を構成している分子運動の大きさが他の物体の分子に働くということ。
なので簡単に言うと、分子運動における物体の温度変化の仕組みは、
動きの激しい分子が動きの穏やかな分子にぶつかっていくことで起こります。
動きの激しい分子(温度が高い)が動きの穏やかな分子(温度が低い)にぶつかると、
ぶつかった衝撃で穏やかな分子は少し動きが激しくなりますよね。
反対に動きの激しい分子はぶつかったことで、その動きが少し穏やかになります。
これが温度変化(熱の移動)の仕組みになります。
具体的な例として容器内に水を入れて熱したときと冷やしたときについて、
分子の運動を見ていきながらどのように温度変化するのかを解説していきます。
では分子運動の様子からそれぞれの場合で、
容器内の水が温度変化する仕組みを見ていきましょう。
まず容器内の水を容器の外から火で暖めた場合です。
上図右は容器内の水と容器(ガラス)を分子で見た場合で、
小さい分子の粒でそれぞれが構成されてることが分かると思います。
そして火は分子で構成されている物体ではなく現象のことで、
火からは物体の分子の運動を激しくさせる赤外線が放出されています。
火に物体を近づけていきその物体が暖かくなっていくのは、
火から赤外線が放出され物体の分子の運動を激しくさせているからなんですね。
これを先ほどの例で見ていくと下図のようになります。
火から放出された赤外線によって容器のガラス分子の運動が激しくなり、
その運動がガラス分子を伝わり容器内の水分子にまで到達します。
このまま火で熱し続けていくと水分子の動きがどんどん激しくなり、
水分子の運動の激しさが水分子同士の繋がりを切るほど強くなると水が水蒸気に変化します。
関連:湯気と水蒸気の違いとは?
次は容器内の水を容器の外から氷で冷やした場合です。
上図は先ほどと同じように分子で見た場合で表しています。
物体の温度の高さは分子の運動の大きさによるので、
容器の外にある氷の分子運動が1番小さい(温度が低い)です。
つまり氷を構成している分子の動きが最も穏やかだということ。
熱の移動は温度の高い物体から低い物体に起こるので、
まずはガラス分子から氷の分子に熱の移動が起こります。
そしてガラス分子から氷の分子に熱の移動が起こったことで、
ガラス分子の動きが穏やか(温度が低く)になります。
最後に容器内の水分子からガラス分子に熱の移動が起こります。
これが容器内の水を氷で冷やした場合における、
分子運動から見た温度変化の様子になります。
以上が「温度とは何か?物体の状態変化と温度の関係について解説!」でした。
これまで説明したことをまとめますと、