さて冥王星は2006年までは太陽系における”惑星”でしたが、
2006年以降からは”準惑星”という分類に変わってしまいました。

 

冥王星の分類が準惑星に変わったことは多くの人が知っていますが、
冥王星にはどのような特徴があるのかを知っている人は意外と少ないです。

 

そこでこのページでは冥王星の表面温度・大気・重力などの特徴を解説します。

 

 

 

1.冥王星の特徴について


※上の画像は冥王星の写真

 

冥王星とは太陽系における準惑星のことで、海王星の外側を移動している星のことです。

 

 

そんな冥王星の特徴について、それぞれ簡単にまとめたものが下のようになります。

項目 冥王星の特徴

英語名

Pluto(プルートゥ)

表面温度

-240℃~-218℃(平均温度-223℃)

大気

主に窒素・メタン・一酸化炭素

質量

0.0022倍(地球を1)

大きさ(直径)

0.186倍(地球を1)

重力

0.06倍(地球を1)

太陽からの平均距離

59億100万km

自転周期

約6日と9時間

公転周期

約247.69年

 

次の章から冥王星について詳しく解説していきます。

 

2.構成物質と大気とは?

まず冥王星を構成している物質は下のようになります。

 

 

上図のように冥王星の外層は窒素・メタン・一酸化炭素の氷で構成され、
内層は主に水の氷、核については岩石と鉄などの金属で構成されていると考えられています

 

 

冥王星の表面が少し黄色みがかっている理由は、太陽から届く紫外線によって冥王星の表面に存在する窒素・メタンが分解・再結合され、”ソリン”と呼ばれる物質を作ることによるものです。

 

ソリンは大気中の有機化合物が紫外線によって化学変化することで生成される物質で、
炭化水素類の総称のこと指しています。

 

そしてソリンはその成分によって茶色から黄色まで多くの色になるため、
冥王星の表面の色が黄色がかっているというわけです

 

 

また冥王星の大気は主に窒素・メタン・一酸化炭素から構成されています

 

 

ただし2000年に冥王星の大気の観測を行ったときよりも、
約10年後に再び大気の観測を行ったときの方が、一酸化炭素の量が2倍以上も増えていることが判明しています

 

大気中の一酸化炭素が増加している理由については、
はっきりとしたことはまだ分かっていないそうです。

 

ちなみに当然ですが、冥王星の大気では人間は呼吸することはできません。

 

3.冥王星と呼ばれる由来とは?

 

冥王星と呼ばれる由来としては、ローマ神話における冥界の神である”Pluto(プルートー)”からきています

 

冥王星は太陽系惑星(2006年まで)の中で最も薄暗い外側を移動していたことから、
ローマ神話における冥界を司る神であるプルートー(ラテン語)と名付けられました

 

冥界(めいかい)とは死後の世界のことなので、プルートーは死後の世界を支配しているということです。

 

”Pluto(プルートー)”はラテン語(ローマでの言語)で、
それを英語にした場合に”Pluto(プルートゥ)”となります。

 

なので冥王星の英語名である”Pluto(プルートゥ)”は、ローマ神話における冥界の神の”Pluto(プルートー)”からきているんですね。

 

 

そして日本語名での”冥王星”の由来についても、ローマ神話における冥界の神プルートーからきています。

 

”冥界の神=冥界の王様”とされ、そこから”冥界の王様の星”なので略して”冥王星”です

 

どの言語で表すかによって言葉が違うのでややこしいですが、
簡単にまとめると、冥王星(日本語)=プルートゥ(英語)=プルートー(ラテン語)となります。

 

4.なぜ冥王星は”準惑星”になってしまったのか?

 

冥王星が”準惑星”という分類に変更された理由は、
冥王星の近くに冥王星と同程度の大きさの天体”エリス”が発見されたからです。

 

冥王星は1930年にその存在が明らかにされており、
当時は地球の質量と同等であると考えられていました。

 

ですが近年の技術の発展により、冥王星が地球よりも明らかに小さいことが判明しました
(地球と比べると質量は0.0022倍、直径は0.186倍ほど)

 

冥王星は地球の衛星である月よりも小さいです。

 

そして1992年以降に冥王星に似た1000を超える天体が発見され、
冥王星が本当に惑星の分類で良いのか、惑星の定義を明確に決めることにしました。

 

 

そこで2006年8月にチェコのプラハで国際天文学連合(IAU)総会が開かれ、
以下の3つの条件すべてに当てはまった天体が”惑星”であると定義されました。

  1. 太陽の周りを公転していること。
  2. 十分に大きな質量を持ち、自身の重力により球状(丸く)になっていること。
  3. 軌道上の天体を排除していること。

3つ目の条件は、自身の重力で他の天体を引き寄せて吸収したり、自身とぶつからせることで、
その軌道上から他の天体を排除していることを条件としています。

 

つまり冥王星の場合は、自身の重力で他の天体を排除しているとは言い切れず、
”惑星”から”準惑星”という分類に格下げされたということになりますね

 

これにより2006年8月以降からは、冥王星は”準惑星”という分類になってしまいました。

 

5.冥王星における1日と1年について

私たちが暮らしている地球では1日の長さは24時間で、
1年の長さは365日というのは常識ですよね。

 

ですが冥王星における1日と1年の長さは地球とは異なり、
冥王星の1日の長さは約6日と9時間で、1年は約247.69年ほどになります

 

 

つまり地球では1年間は365日で、夜→昼→夜の周期は1日(24時間)ですが、
冥王星における1年間は約247.69年で、夜→昼→夜の周期は約6日と9時間かかるということです。

 

 

少しややこしいので、簡単に解説していきます。

 

まず地球における1日というのは、夜が来てまた次の夜が来るまでの時間のことで、
1年間は地球が太陽の周りを1周する時間のことを指しています。
(時間帯の周期が1周することを1日としているので、朝から朝でも問題なし)

 

地球が夜→昼→夜のように変化するのは地球自身が回っているからで、
地球自身が回ることを”地球の自転”、地球が太陽の周りを移動することを”地球の公転”と言います。

 

 

そして冥王星も地球と同じように自転と公転をしていますが、その早さは異なります。

 

地球の自転では1日1回転し、地球の公転は365日かかりますが、
冥王星の自転では約6日と9時間で1回転し、冥王星の公転は約247.69年もかかります

 

冥王星における1日の長さは約6日と9時間、1年の長さは約247.69年なので、
冥王星の自転と公転からそれぞれ1日と1年の長さを知ることができます。

 

ですが水星や金星のように、”自転にかかる時間=1日の長さ”とならない惑星もあるので注意しましょう。

 

6.重力の大きさは質量と半径から計算する

冥王星の重力の大きさは、地球の約0.06倍です。

 

つまり冥王星の重力は、地球よりもかなり小さいということになります。

 

この0.06倍というのは地球の質量・半径と、冥王星の質量・半径から計算することができます。

 

計算の手順としては以下の通りです。

 

 

まず上のように地球と冥王星における質量と半径を比較し、
冥王星の質量と半径が地球の何倍なのかをそれぞれ求めていきます。

 

 

そしてあとは先ほど計算で出した値を上の計算式に入れれば、
冥王星の重力は地球の0.06倍ほどだという計算結果が出てきます。

 

このように冥王星と地球の質量・半径がそれぞれ分かっていれば、
冥王星の重力が地球のだいたい何倍なのかを計算することができます。

 

以上が「冥王星とは?冥王星の表面温度・大気・重力などの特徴を簡単に解説!」でした。

 

 

7.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

<冥王星の特徴>

  • 英語名は、Pluto(プルートゥ)。
  • 冥王星の由来は、ローマ神話における冥界の神が元になっていて、”冥界の王様(神様)の星”という意味からきている。
  • 表面温度は-240℃~-218℃(平均温度223℃)。
  • 大気は主に窒素・メタン・一酸化炭素で構成されている。
  • 冥王星の1日の長さは約6日と9時間で、1年は約247.69年ほど。
  • 冥王星の重力は地球と比べると約0.06倍ほど。

 

 

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