1.鍋やフライパンの空焚きが危険な理由


結論からいってしまうと鍋やフライパンの空焚きが危険な理由は、”鍋やフライパンに熱がたまる(温度が上がる)ことで、有毒ガスの発生や火災につながる恐れがあるから”です。


一般的に空焚きは”鍋やフライパンに水が入っていない状態で加熱すること”を指しますが、何かを焼いている場合でも空焚きに近い状態になって鍋やフライパンに熱がたまってしまうこともあるため注意が必要です。


(鍋やフライパンに熱がたまる原理については後の章で詳しく解説しています)



また空焚きは、コンロやIHを使用した場合だけでなく、加熱する行為全般(ストーブの上に置いて温める場合なども)に言えることなので覚えておきましょう。


では鍋やフライパンの空焚きが危険な理由について、下の順番で解説していきます。

  • テフロン加工(フッ素樹脂加工)の調理器具は、一定以上の温度になると有毒ガスを発生させる
  • 調理器具に熱がたまると、コンロ内に付着している油などに熱が移動することで発火して火災につながる可能性がある




テフロン加工(フッ素樹脂加工)の調理器具は、一定以上の温度になると有毒ガスを発生させる



※上はテフロン加工がされているフライパンの写真


テフロン加工がされている調理器具は、一定以上の温度になる(一定以上の熱がたまる)と有毒ガス(無色無臭)を発生させます


(テフロン加工は”フッ素樹脂でフライパンの表面を覆う処理のこと”で、フッ素樹脂で表面を覆うことで食材がくっつきにくくなるため、焦げにくくなったり洗うときにも汚れが取れやすくなります)



一定以上の温度になるとフッ素樹脂は熱によって分解され、260℃を超えると表面を覆っているフッ素樹脂の劣化が始まり、約360℃で有毒ガスを発生させます


(カセットコンロなどの安全装置の付いていないコンロで空焚きをすると、フライパンは5分ほどで約350℃に達するとされています)


これにより発生した有毒ガスを吸い込むことで、インフルエンザに似た症状が誘発されることが確認されています。



調理器具に熱がたまると、コンロ内に付着している油などに熱が移動することで発火して火災につながる可能性がある


鍋やフライパンなどの調理器具に熱がたまる(温度が上がる)と、コンロ内に付着している油や食品カスに(熱放射によって)熱が移動することで発火し、それが他のモノに燃え広がり火災につながる可能性があります


(”物体の持っている熱の一部を電磁波(赤外線)として放出する現象のこと”を「熱放射(ねつほうしゃ)」と呼び、赤外線はどんな物体からも放出されていて、温度の高い物体ほど強い赤外線が放出されています)



物質には発火点(燃え始める温度)があるため、(熱のたまっている鍋やフライパンから少し離れていても)熱放射によってコンロ内に付着している油や食品カスに熱がたまっていくと、油や食品カスの発火点(食用油の発火点は約350℃)まで温度が上がって発火してしまいます。



また熱がたまることで鍋やフライパンの素材が溶けてしまい、その溶けた高温の素材が他の可燃性のモノに落ちることで燃える可能性もあるため注意が必要です。



※上はアルミ鍋の写真


”固体が液体になるときの温度のこと”を「融点(ゆうてん)」といい、例えばアルミニウムの融点は約660℃なので、約660℃まで温度が上がる(熱がたまる)と溶けます。


2.空焚きをすると鍋やフライパンに熱がたまる原理


※上はIHで空焚きされている鍋の写真


空焚きをすると鍋やフライパンに熱がたまるのは、”コンロの火やIHによって鍋やフライパンが加熱されても、空気自体が熱が伝わりにくい物質のため、鍋やフライパンが火などから熱を受け取ってもその熱をほとんど逃がすことができないから”です。


ここでは”空焚き=鍋やフライパンに空気だけが入っている状態で加熱すること”として解説しています。


では空焚きをすると鍋やフライパンに熱がたまる原理について、下の順番で詳しく解説していきます。

  • 2.1 水は、空気より約25倍も熱が伝わりやすい物質(空気は熱が伝わりにくい)
  • 2.2 空気だけ(空焚き)では熱をほとんど逃がせず、鍋やフライパンに熱がたまる



2.1 水は、空気より約25倍も熱が伝わりやすい物質(空気は熱が伝わりにくい)


まず水は、空気より約25倍も熱が伝わりやすい物質(つまり空気は熱が伝わりにくい)です。


空気よりも水の方が約25倍も熱が伝わりやすいということは、鍋やフライパンから空気に移動する熱を1とすると、鍋やフライパンから水に移動する熱は25になるということです。



コンロで鍋を加熱したときは火から鍋へと熱が移動していきますが、その後に鍋から水、鍋から空気に熱が移動する場合をそれぞれ見ていきます。



上図のように鍋の中に水が入っている場合、火から鍋へと25の熱が与えられるとすると、その25の熱は鍋から水に伝わっていくため鍋に熱はたまりません。


ですが鍋の中に空気しか入っていない場合(空焚き)は、火から鍋へと25の熱が与えられても、その25の内の1の熱しか鍋から空気へと伝わっていかないため、鍋に24の熱がたまってしまいます(つまり鍋の温度が上がる)



2.2 空気だけ(空焚き)では熱をほとんど逃がせず、鍋やフライパンに熱がたまる


鍋やフライパンの中に空気だけが入っている場合(空焚き)、鍋やフライパンの熱が空気にほとんど伝わっていかないため熱がたまってしまいます



空焚きではコンロの火やIHを止めない限り、鍋やフライパンに熱が送られ続けるので、どんどん熱がたまっていき鍋やフライパンの温度が上がり続けてしまいます



これにより空焚きをすると(空気と接していても熱をほとんど逃がすことができないため)鍋やフライパンに熱がたまる、というわけです。


(たとえ食材を加熱している場合でも、フライパンに食材が触れていない部分が多ければ、(鍋やフライパンの熱を逃がせないため)その部分は空焚きの状態になるので注意が必要です)



以上が「鍋やフライパンの空焚きが危険な理由をわかりやすく図で解説!」でした。



3.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • 鍋やフライパンの空焚きが危険な理由は、”鍋やフライパンに熱がたまる(温度が上がる)ことで、有毒ガスの発生や火災につながる恐れがあるから”。
  • 空焚きをすると鍋やフライパンに熱がたまるのは、”コンロの火やIHによって鍋やフライパンが加熱されても、空気自体が熱が伝わりにくい物質(水の方が、約25倍も熱が伝わりやすい)のため、鍋やフライパンが火などから熱を受け取ってもその熱をほとんど逃がすことができないから”。



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