さてあなたは”当て字”と”熟字訓”の違いについてご存知でしょうか。
日常的に当て字・熟字訓だと思われる漢字を目にすることは多いですが、
それが当て字なのか熟字訓なのか、両者の違いってよく分からないですよね。
そこでこのページでは当て字と熟字訓の違いについて分かりやすく解説しています。
どうぞご覧ください。
1.当て字と熟字訓の違いとは?
では当て字と熟字訓の違いとは何なのかを分かりやすく解説していきます。
結論から言ってしまうと、当て字の中のひとつの種類として熟字訓というものが存在しています。
どういうことかというと、まず当て字と言うのは”漢字の本来の用法を無視して表されている字のこと”を言います。
漢字には”その漢字の音(読み方)”と”その漢字が持っている意味”とがあり、
この2つを満たしたものが漢字の本来の用法で、どちらか1つでも違っていればそれは当て字とされます。
(ただし漢字の読み方には、なまりや音変化などがあるため、上記のどちらかを満たしていない場合でも必ずしもそれが当て字とは言い切れません)
当て字には2種類あって、”①漢字の音(読み方)のみを優先したもの”と”②漢字の意味のみを優先したもの”の2種類があります。
そして熟字訓というのは、”②漢字の意味のみを優先した当て字”に分類されます。
では2種類の当て字について簡単に解説していきます。
①漢字の音(読み方)のみを優先した当て字
”①漢字の音(読み方)のみを優先した当て字”というのは、
例えば「夜露死苦(よろしく)」や「倫敦(ロンドン)」などの当て字のことです。
これらは単純にその漢字が持っている意味を考慮せずに、
その漢字の音(読み方)だけを優先して表されている当て字です。
ただし「夜露死苦(よろしく)」はそのまま読むことができますが、
「倫敦(ロンドン)」はそのまま読むと”倫(りん)敦(とん)”と読むことになります。
ですので”①漢字の音(読み方)のみを優先した当て字”には「倫敦(ロンドン)」のように、音(読み方)の響きだけで無理やり当てられた読み方のものもあるため覚えておきましょう。
②漢字の意味のみを優先した当て字(熟字訓がこのタイプ)
次に”②漢字の意味のみを優先した当て字”であれば先ほどとは反対に、
その漢字の音(読み方)は関係なく、その漢字の意味に合った読み方が付けられ、熟字訓がこのタイプの当て字になります。
例えば後者の当て字には「氷菓子(アイスクリーム)」や「運命(さだめ)」などがあり、
これらは氷菓子や運命という漢字の意味的に合っている読み方が当てられています。
このように「氷菓子(アイスクリーム)」や「運命(さだめ)」などの、
熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に対して付けられた訓(よ)み方を熟字訓と呼びます。
ですが”②漢字の意味のみを優先した当て字”には、
熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)ではなく、漢字1字のものもあります。
例えば女と書いて「おんな」ではなく「ひと」と読む場合がありますが、
「女(ひと)」は熟字ではなく1字に対しての当て字なので、②のタイプの当て字にはなりますが熟字訓とは言えません。
このように必ずしも”②のタイプの当て字=熟字訓”ではないということを覚えておきましょう。
ちなみに一般的にある程度認知・使用されているものでなければ、それは熟字訓とは言えません。
そうでなければ個人が適当に作った意味の分からないものまで熟字訓という扱いになってしまうため、一般的にそれがある程度認知されていなければ熟字訓という扱いにはならないので注意が必要です。
以上が「当て字と熟字訓の違いを分かりやすく解説!」でした。
2.まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 熟字訓というのは、当て字の中のひとつの種類のこと。
- 当て字には、”①漢字の音(読み方)のみを優先した当て字”と”②漢字の意味のみを優先した当て字”の2種類がある。
- 熟字訓は漢字2字以上(熟字)から構成される、”②漢字の意味のみを優先した当て字”のこと。