さて冥王星は2006年までは太陽系の惑星として知られていましたが、
2006年以降は惑星から外されることになりました。
いま学校などで太陽系惑星について勉強している人は、
冥王星という名前すら知らない人も多いのではないかと思います。
そこでこのページでは、冥王星が惑星から外れた理由を解説します。
どうぞご覧ください。
1.冥王星が惑星から外れた理由とは?
では冥王星が惑星から外れた理由を見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、冥王星が惑星から外れた理由は、
冥王星の近くに冥王星と同程度の大きさの天体”エリス”が発見されたからです。
”冥王星が惑星から外れた”と言ってしまうと、冥王星がどこかに消えたと誤解してしまう人もいるので、正確に言うと冥王星が”惑星”から、”準惑星”という分類に格下げになったということになります。
なので冥王星自体は昔と変わらずにいまも宇宙に存在していますが、
私たち人間が決めた定義上では”準惑星”に変更になったってだけです。
さて順番に冥王星が”惑星”という分類から外された経緯を解説していきます。
天体”エリス”が発見される
まず冥王星という存在は1930年に発見され、
当時の観測技術では地球と同じくらいの質量を持っていると考えられていました。
(実際は地球と比べると質量は0.0022倍、直径は0.186倍ほど)
それからしばらく経って観測技術が発展すると、
1992年以降に冥王星と似た大きさの天体が次々と発見され始めました。
そして2005年には冥王星の近くに天体”エリス”が発見され、
このエリスの大きさは冥王星と同じか、それ以上であると判断されました。
1992年以降で冥王星に似た大きさの天体は発見されていても、
冥王星よりも大きいと判断されるような天体は発見されていませんでした。
これがきっかけとなり、太陽系の研究者の中では「冥王星を惑星として扱って良いのか?」
というような疑問が少しずつ広がっていきます。
もし冥王星を惑星として扱うのであれば、エリスも惑星として扱う必要もでてきます。
惑星の定義が決められる
いままでは惑星の定義はあいまいなもので、特に明確に決まっていませんでしたが、
天体”エリス”の発見をきっかけに惑星の定義が決められていきます。
2006年8月にチェコのプラハで国際天文学連合(IAU)総会が開かれ、
以下の条件3つ全てに当てはまる天体を惑星とすることが決まりました。
- 太陽の周りを公転していること。
- 十分に大きな質量を持ち、自身の重力により球状(丸く)になっていること。
- 軌道上の天体を排除していること。
冥王星は太陽の周りを公転(回っている)していて、
冥王星自身の重力により、ほぼ球状を維持しています。
ですが、冥王星は3つ目の条件である”軌道上の天体を排除していること”に当てはまりませんでした。
3つ目は自身の重力で他の天体を引き寄せて吸収したり、自身とぶつからせることで、
その軌道上から他の天体を排除していることを条件としています。
つまり冥王星の場合は、自身の重力で他の天体を排除しているとは言い切れず、
”惑星”から”準惑星”という分類に格下げされたということになりますね。
ちなみに”準惑星”という分類もこのときに作られ、準惑星の定義は以下の通りです。
- 太陽の周りを公転していること。
- 十分に大きな質量を持ち、自身の重力により球状(丸く)になっていること。
- 軌道の近くに他の天体が存在していること(取り込んだり、弾いたりしていない)。
- 自身が衛星ではないこと。
1つ目と2つ目の条件は惑星における定義と同じで、
3つ目の条件は惑星のときほど重力が大きくなくても達成可能です。
4つ目の条件にある衛星と言うのは、惑星の周りを公転している天体のことで、
地球(惑星)に対していうところの月が衛星になります。
冥王星はこれらの条件に当てはまったので”準惑星”という分類となり、
さらに天体エリスについても冥王星と同じく準惑星という分類になっています。
以上が「冥王星が惑星から外れた理由を分かりやすく解説!」でした。
2.まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 冥王星が惑星から外れた理由は、冥王星の近くに冥王星と同程度の大きさの天体”エリス”が発見されたから。
- 惑星の明確な定義は決まっていなかったが、天体エリスの発見を機に明確な定義が決められた。
- その2006年に決まった新しい定義によって、冥王星は”準惑星”という分類に格下げされた。