1.比熱とは何か

 

結論からいってしまうと比熱とは、”物質1[g]の温度を1[℃](=1[K])上昇させるのに必要な熱量[J](ジュール)のこと”です。

[K](ケルビン)は”「絶対温度」と呼ばれる温度表記の単位”で、[℃](度)は”「セルシウス温度(摂氏温度)」と呼ばれる(日常的に用いられる)温度表記の単位”です。

 

”△[℃] + 273.15 = □[K]”の式でセルシウス温度[℃]から絶対温度[K]に変換することができ、温度が何度上昇してもセルシウス温度[℃]と絶対温度[K]の変化量は変わらないため、1[℃]上昇させるのも1[K]上昇させるのも同じなので上では”1[℃](=1[K])”と表記しています。

 

比熱の単位は”[J/(g・K)](ジュール毎グラム毎ケルビン)または[J/(kg・K)](ジュール毎キログラム毎ケルビン)”が用いられることが多く、その他には”[J/(g・℃)](ジュール毎グラム毎度)”が用いられます。

 

 

例えば20[℃]の水の比熱は4.184[J/(g・K)](=4184[J/(kg・K)])で、これは”20[℃]の水1[g]の温度を1[℃]上昇させるのに4.184[J]の熱量が必要”ということを表しています。

 

その物質の温度によって比熱は変化し、一般的には温度が上がると比熱も大きくなる傾向にあります(つまり物質の温度を上昇させていくと、温度を上昇させるために必要な熱量も増えていく、ということ)が、水の場合は温度が上昇しても比熱が大きくなるとは限りません(0[℃]では4.218[J/(g・K)]、40[℃]では4.178[J/(g・K)]、80[℃]では4.196[J/(g・K)])。

 

 

比熱が大きい物質ほど温度は上昇しにくく、比熱が小さい物質ほど温度は上昇しやすい

 

比熱が大きい物質ほど温度は上昇しにくく(温まりにくく)、比熱が小さい物質ほど温度は上昇しやすい(温まりやすい)です。

 

 

比熱とは”物質1[g]の温度を1[℃](=1[K])上昇させるのに必要な熱量[J]”を意味するので、”比熱が大きい=物質1[g]の温度を1[℃](=1[K])上昇させるのに必要な熱量[J]が大きい”、”比熱が小さい=物質1[g]の温度を1[℃](=1[K])上昇させるのに必要な熱量[J]が小さい”ということです。

 

(比熱の大きさは物質ごとに数値(○○[J/(g・K)]のように)で表され、比熱が大きい・比熱が小さいというのは、一定の数値の基準があるわけではなく、他の物質と比べて大きいかどうかで判断されます)

 

 

例えば水は他の物質と比べてかなり比熱が大きい物質で、”0[℃]の水の比熱は4.218[J/(g・K)](=4218[J/(kg・K)])”、”0[℃]の鉄の比熱は0.435[J/(g・K)](=435[J/(kg・K)])”になります。

 

(水は比熱が大きい物質、鉄は比熱が小さい物質で、鉄を含めて金属は全体的に比熱が小さい)

 

 

つまり0[℃]の水の温度を1[℃]上昇させるのと、0[℃]の鉄の温度を1[℃]上昇させるのとでは、水の温度を1[℃]上昇させる方が約10倍も多くの熱量が必要になる、ということです。

 

(なので比熱が大きい水の温度は上昇しにくく(温まりにくく)、比熱が小さい鉄の温度は上昇しやすい(温まりやすい))

 

 

同じ温度の物質同士で比較した場合、比熱の大きい物質ほど熱を多く保有している

 

同じ温度の物質同士(例えば0[℃]の水と0[℃]の鉄)で比較した場合、比熱の大きい物質ほど熱を多く保有しています

 

 

0[℃]の水(比熱 4.218[J/(g・K)])と0[℃]の鉄(比熱 0.435[J/(g・K)])の温度をそれぞれ1[℃]上昇させるとき、(鉄の温度を上昇させるときと比べて)水の温度を上昇させるときの方が約10倍の熱量が必要になります。

 

つまり”(同じ温度の物質同士なら)比熱が大きい物質ほど、その物質内により多くの熱をためておくことができる”ということです。

 

 

例えば上図のように同じ温度の水(比熱が大きい)と鉄(比熱が小さい)から同じ量の熱を奪ったとしても、元々の熱の保有量が多い水の方が温度が下がりにくく(冷めにくく)なります

 

このように比熱というのは、”物質の温めやすさ冷めやすさの指標”として用いられます。

 

2.様々な物質の比熱の比較

下の表で様々な物質の比熱を比較してみると、水は他の物質よりもかなり比熱が大きく、金属は全体的に比熱が小さいことが分かります。

 

分類 物質名 温度[℃] 比熱[J/(g・K)]
液体 20 4.184
メタノール(メチルアルコール) 20 2.470
グリセリン 20 2.390
アセトン 20 2.160
気体 アンモニア 0 2.144
窒素 0 1.043
空気 0 1.005
アルゴン 0 0.523
金属 アルミニウム 0 0.880
0 0.435
0 0.379
0 0.235
0 0.129

 

以上が「比熱とは何かをわかりやすく図で解説!」でした。

 

 

3.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • 比熱とは、”物質1[g]の温度を1[℃](=1[K])上昇させるのに必要な熱量[J]のこと。単位は[J/(g・K)](ジュール毎グラム毎ケルビン)”。
  • 比熱が大きい物質ほど温まりにくく冷めにくい。比熱が小さい物質ほど温まりやすく冷めやすい。
  • 同じ温度の物質同士で比較した場合、比熱の大きい物質ほど熱の保有量が多い。

 

 

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