1.エアコンの冷房で乾燥する理由

 

結論からいってしまうとエアコンの冷房で乾燥する理由は、”室内の空気をエアコン内に取り込んで冷やすことで、室内の空気に含まれていた水蒸気(気体)が水(液体)として現れ、その水(元々は室内の空気に含まれていた水蒸気)が室外へと排出されるから”です。

 

一般的なエアコン(換気機能が付いていないエアコン)は、室内の空気を循環(じゅんかん)させているため、冷房によって空気中の水分が取り除かれることで乾燥していきます。

 

 

ではエアコンの冷房で乾燥する原理を以下の順番で詳しく解説していきます。

  • 1.1 室内の空気をエアコン内に取り込み、その空気をエアコン内で冷やす
  • 1.2 空気の温度によって、空気中に含むことができる水蒸気量が変化する
  • 1.3 空気中の水蒸気(気体)が水(液体)として現れ、その水は室外へと排出される

 

 

1.1 室内の空気をエアコン内に取り込み、その空気をエアコン内で冷やす

 

まず(冷房は夏に使用することがほとんどなので)室内の温度の高い空気をエアコン内に取り込み、その空気をエアコン内部にある熱交換器と呼ばれるパーツに触れさせることで冷やします

 

 

熱交換器は”冷却や加熱目的で用いられる機器”で、冷房のときは温度の低い冷媒(れいばい)ガス、暖房のときは温度の高い冷媒ガスが室外機から(熱交換器につながるパイプへと)送られます。

 

 

なのでエアコン内に取り込んだ空気は、冷房のときは熱交換器の温度が下がるため冷たい空気(空気から熱を受け取るため熱交換器内のガスの温度は上がる)に、暖房のときは熱交換器の温度が上がるため暖かい空気(空気に熱を奪われるため熱交換器内のガスの温度は下がる)にすることができます

 

(エアコン内の空気を冷却・加熱したときに使われた冷媒ガスは室外機へと運ばれ、再び温度調節された冷媒ガスが室外機から送られてきます)

 

 

1.2 空気の温度によって、空気中に含むことができる水蒸気量が変化する

 

空気の温度によって空気中に含むことのできる水蒸気量は異なり、温度の高い空気ほど水蒸気(気体)を多く含むことができ、反対に温度の低い空気ほど含むことができる水蒸気は少なくなります

 

(なのでエアコン内に取り込まれた(冷やされる前の)温度の高い空気は、多くの水蒸気を含むことができます)

 

 

そして水蒸気を多く含んだ温度の高い空気は、冷やされて温度が下がると、含むことができる水蒸気量が少なくなってしまうため、水蒸気を含んでおくことができなくなります。

 

 

これにより空気の容量を超えてしまった水蒸気(気体)は、小さな水滴や小さい粒状の水(液体)になります

 

 

1.3 空気中の水蒸気(気体)が水(液体)として現れ、その水は室外へと排出される

 

エアコン内に取り込まれた(水蒸気を多く含む)温度の高い空気は、熱交換器に触れて(熱が奪われ)冷やされることで、その空気中に含むことができなくなった水蒸気(気体)が水(液体)として現れて熱交換器に付着します

 

 

熱交換器に付着した水は、熱交換器の下に垂れていきますが、熱交換器の下には垂れてきた水を受け止めるパーツ(ドレンパンと呼ばれる)があります。

 

 


※上はドレンホース(壁から室外機の下に通している)の写真

 

このパーツ(ドレンパン)が垂れてきた水を受け止め、受け止めた水を室外へと排出するためのホース(ドレンホースと呼ばれる)まで運び、水(元々は室内の空気に含まれていた水蒸気)が室外へと排出されます

 

(冷房・除湿時に室外機の下が濡れていることがあるのは、ドレンホースから排出された水(元々は室内の空気に含まれていた水蒸気)によるものです)

 

 

エアコンは室内の空気を循環させている(室外機から外の空気を取り込んでいるわけではない)ため、エアコン内に取り込んだ室内の空気から水(元々は室内の空気に含まれていた水蒸気)を取り除いて室外へ排出させると、室内の空気から少しずつ水分が少なくなっていきます

 

これによりエアコンの冷房をすることで、室内の空気が乾燥していく(空気中の水分が少なくなっていく)、というわけです。

 

 

では次の章でエアコンの暖房によって乾燥する理由を詳しく解説していきます。

 

2.エアコンの暖房で乾燥する理由

結論からいってしまうとエアコンの暖房で乾燥する理由は、”室内の空気の温度が上がることで、その空気中に含むことができる水蒸気(気体)の量が多くなるため、相対湿度(一般的に用いられている湿度のこと)が下がるから”です。

 

なので冷房とは乾燥する理由が異なり、暖房の場合は”実際に空気中に含まれている水蒸気の量が減っているわけではありません”

 

 

ではエアコンの暖房で乾燥する原理を以下の順番で詳しく解説していきます。

  • 2.1 室内の空気をエアコン内に取り込み、その空気をエアコン内で温める
  • 2.2 空気の温度が上がると含むことができる水蒸気の量が多くなり、相対湿度が下がる(乾燥する)

 

 

2.1 室内の空気をエアコン内に取り込み、その空気をエアコン内で温める

 

(暖房は冬に使用することがほとんどなので)室内の温度の低い空気をエアコン内に取り込み、その空気をエアコン内部にある熱交換器に触れさせることで温めます

 

 

暖房のときは(外の空気から熱を奪った)温度の高い冷媒ガスが室外機から(熱交換器につながるパイプへと)送られ、エアコン内に取り込んだ温度の低い空気は、熱交換器に触れて(温度の高い冷媒ガスから)熱を奪うことで暖かい空気になります。

 

 

温度は-273.15℃(絶対零度と呼ばれる)まで下がるため、冬の外の空気の温度でも-273.15℃よりは高いことから熱を持っているので、そこから熱を奪っています

 

室外機(の中の熱交換器)によって熱を奪われた外の空気は、熱を奪われたため温度が下がり、室外機から(外の空気よりも温度の低い)冷たい風として出てきます。

 

 

2.2 空気の温度が上がると含むことができる水蒸気の量が多くなり、相対湿度が下がる(乾燥する)

 

空気の温度が上がると、その空気中に含むことができる水蒸気の量が多く(実際に含まれている水蒸気の量は変わらない)なり、相対湿度(一般的に用いられている湿度のこと)が下がります

 

(相対湿度:その空気に含むことができる水蒸気の最大量に対して、実際に含まれている水蒸気の量の割合(%))

 

 

上図のように暖房をすることで、実際に空気中に含まれている水蒸気の量は変わりませんが、相対湿度が下がるため空気が乾燥する、というわけです。

 

(乾燥という言葉は、冷房のような実際に含まれている水分が減る場合だけでなく、湿度(相対湿度のこと)が下がるときにも用いられます)

 

 

 

また相対湿度が下がると、水分が(水蒸気に)蒸発しやすくなるため、肌などに含まれている水分も蒸発しやすくなり、乾燥に繋がるため注意が必要です。

 

相対湿度が低いほど水分は蒸発しやすく、反対に相対湿度が高いほど水分は蒸発しにくくなり、相対湿度が100%になると水分は蒸発できなくなります。

 

 

ちなみに水の沸騰(液体の内部から気体に変化する現象)は100℃(1気圧の場合)に達すると起こりますが、蒸発(表面から気体に変化する現象)は100℃に達していなくても起こります。

 

以上が「エアコン(冷房・暖房)で乾燥する理由をわかりやすく図で解説!」でした。

 

 

3.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • エアコンの冷房で乾燥する理由は、”室内の空気をエアコン内に取り込んで冷やすことで、室内の空気に含まれていた水蒸気(気体)が水(液体)として現れ、その水(元々は室内の空気に含まれていた水蒸気)が室外へと排出されるから”。
  • エアコンの暖房で乾燥する理由は、”室内の空気の温度が上がることで、その空気中に含むことができる水蒸気(気体)の量が多くなるため、相対湿度(一般的に用いられている湿度のこと)が下がるから(実際に空気中に含まれている水蒸気の量は変わらない)”。
  • 冷房の場合は”室内の空気中に含まれる水分(水蒸気)が減る⇒乾燥”、暖房の場合は”室内の相対湿度が下がる⇒乾燥”。

 

 

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