さて日常的に使われることはあまりないですが、「白南風」という言葉があります。
この白南風に用いられている漢字自体はさほど難しくないですが、
白南風がどの読み方なのか悩んだことがあるという人も多いですよね。
そこでこのページでは白南風の読み方と意味、「しらはえ」と「はくなんふう」どちらが正しいのかを解説します。
どうぞご覧ください。
1.白南風の正しい読み方は「しらはえ」「はくなんふう」?
では白南風の正しい読み方は、「しらはえ」「はくなんふう」どちらなのかを見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、白南風の正しい読み方は「しらはえ」「しろはえ」「しろばえ」になります。
白南風の”白”は「しろ」「しら」「はく」、”南”は「みなみ」「なん」、”風”は「かぜ」「ふう」と読むことができますが、白南風を「はくなんふう」と読むのは間違いです。
ただ一般的には白南風は「しらはえ」と読むことが多いです。
南風を「はえ」と読むのは”熟字訓(じゅくじくん)”と言われる読み方で、
熟字訓とは漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方のことです。
熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方だから、熟字訓(じゅくじくん)です。
”訓読みは漢字の持つ意味を日本語に翻訳したところから生まれた読み方”のことで、”音読みは中国語としての漢字の発音に基づく読み方”のことです。
なので”草”の訓読みは「くさ」で聞いただけで意味を理解できますが、
音読みは「そう」でこれだけでは意味が分からないですよね。
訓読みはそれだけで意味が分かる読み方のものが多く、音読みはそれだけでは意味が分からないものが多いです。
熟字訓は熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に読み方があてられているため、漢字単体に読み方が振り分けられているわけではありません。
例えば「南風(はえ)」に用いられている”南”は単体では「は」と読むことはできず、”風”も単体では「え」と読むことはできません。
ですので漢字1字の訓読み(草:くさ)のように、その熟字だけで意味が伝わるように読み方があてられているものが熟字訓というわけなんですね。
熟字訓と言われる読み方は特殊で、あらかじめその言葉の読み方を知っていなければ、読み方が分からないものがほとんどです。
そして”南風”の読み方は「はえ」と読むことはできますが、
もともとそれだけでは「ばえ」という読み方をすることはできません。
白南風のように「しろはえ」ではなく、「しろばえ」と濁って読むのは、日本語の「連濁(れんだく)」と呼ばれているものです。
連濁とは、”2つの語が結びついて1つの語になるときに、発音しやすくするために、後ろの語の語頭が清音から濁音に変化する現象のこと”を言います。
白南風であれば、白(しろ)+南風(はえ)なので、南風(後ろの語)の語頭である清音の”は”が濁音の”ば”に変化します。
次の章で白南風の意味と類義語について解説していきます。
2.白南風の意味と類義語について
では白南風の意味と類義語について見ていきましょう。
まず白南風は「梅雨(つゆ)明けの頃に吹く南風のこと」の意味として用いられています。
梅雨(つゆ)は”6月上旬から7月中旬頃の長雨の時期のこと”なので、梅雨明けの頃に吹く南風というのは”7月中旬頃に吹く南風のこと”を意味します。
また白南風の類義語としては、「薫風(くんぷう)・春一番(はるいちばん)・黒南風(くろはえ)・青嵐(あおあらし)」などの言葉が挙げられます。
どの言葉についても白南風と意味は似ていますが、まったく同じ意味ではないので注意してください。
以上が「白南風の読み方と意味、”しらはえ”と”はくなんふう”正しいのは?」でした。
3.まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 白南風の正しい読み方は「しらはえ」「しろはえ」「しろばえ」で、「はくなんふう」は間違い。
- 白南風は「梅雨明けの頃に吹く南風のこと」の意味。
- 白南風の類義語には、「薫風・春一番・黒南風・青嵐」などがある。