さて日常的に使われるもので「女形」という言葉があります。
この女形に用いられている漢字自体はさほど難しくないですが、
女形がどの読み方なのか悩んだことがあるという人も多いですよね。
そこでこのページでは女形の読み方と意味、「おやま」と「おんながた」どちらが正しいのかを解説します。
どうぞご覧ください。
１．女形の正しい読み方は「おやま」「おんながた」？
では女形の正しい読み方は、「おやま」「おんながた」どちらなのかを見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、女形の正しい読み方は「おやま」「おんながた」の両方になります。
女形の”女”は「おんな」「じょ」、”形”は「かたち」「かた」「けい」と読むことができます。
一般的には女形は「おやま」と読むことが多いです。
ただ女形を「おやま」「おんながた」のどちらで読むかによって、意味が少し異なるので注意が必要です。
（次の章でそれぞれの意味について解説していきます）
また女形を「おやま」と読むのは”熟字訓（じゅくじくん）”と言われる読み方で、
熟字訓とは漢字１字に読み方をあてるのではなく、熟字（２字以上の漢字の組み合わせ）に訓読みをあてた読み方のことです。
熟字（２字以上の漢字の組み合わせ）に訓読みをあてた読み方だから、熟字訓（じゅくじくん）です。
”訓読みは漢字の持つ意味を日本語に翻訳したところから生まれた読み方”のことで、”音読みは中国語としての漢字の発音に基づく読み方”のことです。
なので”草”の訓読みは「くさ」で聞いただけで意味を理解できますが、
音読みは「そう」でこれだけでは意味が分からないですよね。
訓読みはそれだけで意味が分かる読み方のものが多く、音読みはそれだけでは意味が分からないものが多いです。
熟字訓は熟字（２字以上の漢字の組み合わせ）に読み方があてられているため、漢字単体に読み方が振り分けられているわけではありません。
例えば「女形（おやま）」に用いられている”女”は単体で「お」と読むことはできず、”形”も単体では「やま」と読むことはできません。
ですので漢字１字の訓読み（草：くさ）のように、その熟字だけで意味が伝わるように読み方があてられているものが熟字訓というわけなんですね。
熟字訓と言われる読み方は特殊で、あらかじめその言葉の読み方を知っていなければ、読み方が分からないものがほとんどです。
そして”形”の読み方は「かた」と読むことはできますが、
もともとそれ単体では「がた」という読み方をすることはできません。
女形のように「おんなかた」ではなく、「おんながた」と濁って読むのは、日本語の「連濁（れんだく）」と呼ばれているものです。
連濁とは、”２つの語が結びついて１つの語になるときに、発音しやすくするために、後ろの語の語頭が清音から濁音に変化する現象のこと”を言います。
女形であれば、女（おんな）＋形（かた）なので、形（後ろの語）の語頭である清音の”か”が濁音の”が”に変化します。
ただすべての言葉が連濁によって濁音に変化するわけではないので、注意してください。
次の章で女形の意味と類義語について解説していきます。
２．女形の意味と類義語について
では女形の意味と類義語について見ていきましょう。
まず女形（おやま）は「歌舞伎で、女の役をする男の役者のこと/操り人形で、女役の人形のこと」の意味として用いられています。
女形を「おやま」と読むと上記のような意味になりますが、
「おんながた」と読むと「歌舞伎で、女の役をする男の役者のこと」の意味のみとなります。
このように女形は「おやま」「おんながた」のどちらで読むかによって、意味が少し異なるので覚えておきましょう。
また女形の類義語としては、「太夫（たゆう）・女優（じょゆう）・演者（えんじゃ）・役者（やくしゃ）」などの言葉が挙げられます。
どの言葉についても女形と意味は似ていますが、まったく同じ意味ではないので注意してください。
以上が「女形の読み方と意味、”おやま”と”おんながた”正しいのは？」でした。
３．まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 女形の正しい読み方は「おやま」「おんながた」の両方。
- 女形（おやま）は「歌舞伎で、女の役をする男の役者のこと/操り人形で、女役の人形のこと」の意味。
- 女形（おんながた）は「歌舞伎で、女の役をする男の役者のこと」の意味。
- 女形の類義語には、「大夫・女優・演者・役者」などがある。