さて日常的に使われるもので「幾何」という言葉があります。
この幾何に使用されている漢字(特に”幾”)は普段あまり見ることはなく、
どのような読み方なのか分からないという人も多いですよね。
そこでこのページでは幾何の読み方と意味、「きなん」と「いくばく」どちらが正しいのかを解説します。
どうぞご覧ください。
1.幾何の正しい読み方は「きなん」「いくばく」?
では幾何の正しい読み方は、「きなん」「いくばく」どちらなのかを見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、幾何の正しい読み方は「いくばく」「きか」になります。
幾何の”幾”は「いく」「き」、”何”は「なに」「なん」「か」と読むことができますが、幾何を「きなん」と読むのは間違いです。
一般的には幾何は「いくばく」と読むことがほとんどです。
ただ幾何は「いくばく」「きか」のどちらで読むかによって、意味が異なるので注意が必要です。
(次の章でそれぞれの意味について解説していきます)
また幾何を「いくばく」と読むのは”熟字訓(じゅくじくん)”と言われる読み方で、
熟字訓とは漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方のことです。
熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方だから、熟字訓(じゅくじくん)です。
”訓読みは漢字の持つ意味を日本語に翻訳したところから生まれた読み方”のことで、”音読みは中国語としての漢字の発音に基づく読み方”のことです。
なので”草”の訓読みは「くさ」で聞いただけで意味を理解できますが、
音読みは「そう」でこれだけでは意味が分からないですよね。
訓読みはそれだけで意味が分かる読み方のものが多く、音読みはそれだけでは意味が分からないものが多いです。
そして熟字訓は熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に読み方があてられているため、漢字単体に読み方が振り分けられているわけではありません。
例えば「幾何(いくばく)」に用いられている”幾”は単体で「いく」と読むことはできますが、”何”は単体では「ばく」と読むことはできません。
ですので漢字1字の訓読み(草:くさ)のように、その熟字だけで意味が伝わるように読み方があてられているものが熟字訓というわけなんですね。
熟字訓と言われる読み方は特殊で、あらかじめその言葉の読み方を知っていなければ、読み方が分からないものがほとんどです。
次の章で幾何の意味と類義語について解説していきます。
2.幾何の意味と類義語について
では幾何の意味と類義語について見ていきましょう。
まず幾何(いくばく)は「数量・程度が不明であることを表す/(”幾何か”の形で)わずか。少し/(”幾何も”の形で)数量・程度が多くないこと」の意味として用いられています。
幾何を「いくばく」と読むと上記のような意味になりますが、
「きか」と読むと「幾何学(きかがく)の略のこと」の意味となります。
幾何学というのは、”物の形・大きさ・位置など、空間に関する性質を研究する数学の部門のひとつ”です。
このように幾何は「いくばく」「きか」のどちらで読むかによって、意味が異なるので覚えておきましょう。
幾何を用いた例文としては、「幾何(いくばく)の損失が出たか」や、
「幾何(いくばく)かの金銭を渡す」のような使い方で用いられています。
前者の例文は「数量・程度が不明であることを表す」の意味で、
後者の例文は「わずか。少し」の意味で使用しています。
また幾何(いくばく)の類義語としては、「何度(なんど)・若干(じゃっかん)・幾度(いくど)・多少(たしょう)」などの言葉が挙げられます。
どの言葉についても幾何と意味は似ていますが、まったく同じ意味ではないので注意してください。
以上が「幾何の読み方と意味、”きなん”と”いくばく”正しいのは?」でした。
3.まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 幾何の正しい読み方は「いくばく」「きか」の両方で、「きなん」は間違い。
- 幾何(いくばく)は「数量・程度が不明であることを表す/(”幾何か”の形で)わずか。少し/(”幾何も”の形で)数量・程度が多くないこと」の意味。
- 幾何(きか)は「幾何学の略のこと」の意味。
- 幾何(いくばく)の類義語には、「何度・若干・幾度・多少」などがある。