1.慣性とは何か?


結論から言ってしまうと慣性とは、”物体が外部から力を加えられない限り、現在の運動状態を続けるという性質のこと”です。


慣性は、すべての物体が持っている性質になります。



例えばボールを投げたときや転がしたときであれば、そのボール(物体)には重力・空気抵抗・地面との摩擦力などの外部から受ける力が働きます。


この外から受ける力により、ボールはそのときの運動状態(投げたり転がしたりしたときの運動状態)を続けることができなくなってしまうため、最終的にボールの動きは止まります。



ですが宇宙のような無重力で物質が存在しない空間では、外部から受ける力(重力・空気抵抗・摩擦力など)が存在しません。


なので宇宙空間でボールを投げると、外部からの力を受けない限り、ボール(物体)は投げたときの速度・向き(運動状態)でずっと動き続けます



このように物体には「外部から力を加えられない限り、現在の運動状態を続けるという性質(=慣性)」があります。



2.慣性力は「見かけの力」

慣性力とは、”慣性によって感じる見かけの力のこと”を指します。


(「見かけの力」というのは、”実際には存在しないが、便宜的に(そのように解釈すると便利なので)存在すると仮定している力のこと”です)



例えば電車の走行中にブレーキで減速すると、電車に乗っている人は実際に押されたり引っ張られたりする力が発生しているわけでもないのに体が前によろけてしまいます。


このように実際には存在しない力ですが、慣性によってそのように感じる見かけの力のことを「慣性力」(次の章で図を用いてわかりやすく解説)と言います。


3.身近な慣性の例

では身近な慣性の例について、下の順番でそれぞれ解説していきます。

  • 電車に人が乗っているとき(停止中⇒走行、走行中⇒減速)
  • 手にボールを乗せて走るとき(走りながら上に放る、上に放ってから走る)
  • エレベーターに人が乗っているとき(停止⇒下降⇒停止、停止⇒上昇⇒停止)



電車に人が乗っているとき(停止中⇒走行、走行中⇒減速)


「人の乗っている電車が止まっている状態から走り出す場合」は、電車とその中にいる人が止まっている状態から考えていきます。



※①⇒②の順番で力が働く


上図のように電車が動き出すと、電車は進行方向へと力が働くため、電車の床に接している足も同じように進行方向へと動きます。


足以外の部分は慣性によって止まっている状態を維持し続けようとし、足だけが進行方向に進むので、体は後ろ(進行方向と逆側)によろめきます


(体が進行方向と逆側によろめき、その慣性によって感じる力を慣性力としていますが、見かけの力なので実際には押されたり引っ張られたりする力は存在していません)



次に「電車が走っているときにブレーキをして減速する場合」は、電車とその中にいる人が進行方向に力が働いている状態から考えていきます。



上図のように電車がブレーキで減速すると、電車は進行方向と逆の方向に力が働くため、電車の床に接している足も同じように進行方向と逆の方向へと動きます。


足以外の部分は慣性によって進行方向へと進み続けようとし、足は進行方向と逆の方向に進むので、体は前(進行方向側)によろめきます


(車に乗っていて急発進するときに体が押し付けられたり、急ブレーキのときに進行方向に飛んでいきそうになったりするのも電車の場合と原理は同じ)



手にボールを乗せて走るとき(走りながら上に放る、上に放ってから走る)


「手にボールを乗せた状態で走りながら、そのボールを上に放る場合」について見ていきます。



上図のように走りながら手に乗せているボールに上に放ると、ボールは手から離れても慣性によって前に進もうとし続けるため、手に戻ってきます



次に「ボールを上に放ってから、走り出す場合」について見ていきます。



上図のようにボールを上に放ってから走ると、ボールは慣性によってその場に留まり続けようとする(前に進もうとはしない)ため、走る人にぶつかってしまいます



エレベーターに人が乗っているとき(停止⇒下降⇒停止、停止⇒上昇⇒停止)


「エレベーターに人が乗っていて、エレベーターが停止⇒下降⇒停止するときの場合」について見ていきます。



上図のようにエレベーターが停止した状態から下降すると、人は慣性によってその場に留まり続けようとし、上向きに慣性力が働くので体が軽くなったように感じます


(下降から停止するときは、人は慣性によって下降し続けようとし、下向きに慣性力が働くので体が重くなったように感じます)



次に「エレベーターに人が乗っていて、エレベーターが停止⇒上昇⇒停止するときの場合」について見ていきます。



上図のようにエレベーターが停止した状態から上昇すると、人は慣性によってその場に留まり続けようとし、下向きに慣性力が働くので体が重くなったように感じます


(上昇から停止するときは、人は慣性によって上昇し続けようとし、上向きに慣性力が働くので体が軽くなったように感じます)



以上が「慣性とは何かをわかりやすく図で解説!」でした。



4.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • 慣性とは、”物体が外部から力を加えられない限り、現在の運動状態を続けるという性質のこと”。
  • 慣性力は、”慣性によって感じる見かけの力(実際には存在しないが、便宜的に存在すると仮定している力)のこと”。



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