さて日常的に使われることはあまりないですが、「出奔」という言葉があります。
この出奔に使用されている漢字(特に”奔”)は普段あまり見ることはなく、
どのような読み方なのか分からないという人も多いですよね。
そこでこのページでは出奔の読み方と意味、「しゅっぽん」と「しゅっぽう」どちらが正しいのかを解説します。
どうぞご覧ください。
1.出奔の正しい読み方は「しゅっぽん」「しゅっぽう」?
では出奔の正しい読み方は、「しゅっぽん」「しゅっぽう」どちらなのかを見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、出奔の正しい読み方は「しゅっぽん」になります。
出奔の”出”は「で(る)」「しゅつ」、”奔”は「はし(る)」「ほん」と読むことはできますが、”奔”は「ほう」と読むことはできないので、出奔を「しゅっぽう」と読むのは間違いです。
また出奔を「しゅっぽん」と読むのは、日本語の”促音化(そくおんか)+半濁音化(はんだくおんか)”によるものです。
出奔の”出”の読み方は「しゅつ」と読むことはできますが、
もともとそれ単体では「しゅっ」という読み方をすることはできません。
出奔のように「しゅつぽん」ではなく、「しゅっぽん」と変化して読むのは、日本語の「促音化(そくおんか)」と呼ばれているものです。
(”奔”を「ぽん」と読むのは半濁音化によるもので、少し後に解説しています)
促音化とは、”2つの語が結びついて1つの語になるときに、発音しやすくするために、後ろの語(カ行・サ行・タ行・パ行)の前に付いた音が「っ」(これを促音という)に変化する現象のこと”を言います。
出奔であれば、出(しゅつ)+奔(ぽん)なので、奔(後ろの語)の前に付いた音である”つ”が促音の”っ”に変化します。
そして出奔の”奔”の読み方は「ほん」と読むことはできますが、
もともとそれ単体では「ぽん」という読み方をすることはできません。
出奔のように「しゅっほん」ではなく、「しゅっぽん」と変化して読むのは、日本語の「半濁音化(はんだくおんか)」と呼ばれているものです。
半濁音化とは、”2つの語が結びついて1つの語になるときに、発音しやすくするために、後ろの語の語頭(ハ行音)がパ行音に変化する現象のこと”を言います。
このパ行音(パ・ピ・プ・ペ・ポ)のことを”半濁音(はんだくおん)”と呼びます。
出奔であれば、出(しゅっ)+奔(ほん)なので、奔(後ろの語)の語頭である”ほ”が半濁音の”ぽ”に変化します。
このように日本語の”促音化+半濁音化”によって出奔を「しゅっぽん」と読んでいます。
次の章で出奔の意味と類義語について解説していきます。
2.出奔の意味と類義語について
では出奔の意味と類義語について見ていきましょう。
まず出奔は「その土地や家を逃げ出して行方(ゆくえ)を晦(くら)ませること」の意味として用いられています。
出奔を用いた例文としては、「机の金を持って出奔した」や、
「出奔しても何も良いことがない」のような使い方で用いられています。
また出奔の類義語としては、「逃走(とうそう)・高跳び(たかとび)・亡命(ぼうめい)・雲隠れ(くもがくれ)」などの言葉が挙げられます。
どの言葉についても出奔と意味は似ていますが、まったく同じ意味ではないので注意してください。
以上が「出奔の読み方と意味、”しゅっぽん”と”しゅっぽう”正しいのは?」でした。
3.まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 出奔の正しい読み方は「しゅっぽん」で、「しゅっぽう」は間違い。
- 出奔は「その土地や家を逃げ出して行方を晦ませること」の意味。
- 出奔の類義語には、「逃走・高跳び・亡命・雲隠れ」などがある。