さて近年では世界中で酸性雨が環境問題となっています。

 

酸性雨は、酸性の雨と書かれているので、
「触れた物を溶かすんじゃないの?」と思われている人も多いでしょう。

 

確かに酸性雨は物を少し溶かしはしますが、
触れただけでみるみるうちに溶けていくというような強い影響はありません。

 

しかし、私たちが生活する中で酸性雨による影響は全くないのか?
気になってしまう人もいらますよね。

 

そこでこのページでは酸性雨とは何か?
また酸性雨の原因とその影響について簡単に解説します。

 

どうぞご覧ください。

 

 

 

1.酸性雨とは何か?

 

では酸性雨とは何かについて見ていきましょう。

 

さっそくですが酸性雨とは、空気中に存在する汚染物質を取り込んで酸性になった雨のことです。

 

通常の雨であれば空気中の二酸化炭素を取り込み、
雨水のpH(ペーハー)は6.5~5.6程度の微弱な酸性を示します。

 

大気中の二酸化炭素が十分に溶け込んだ場合だとしても、
酸性雨ではない雨水のpHは5.6程度とされています。

 

 

しかし酸性雨であれば空気中に存在する二酸化炭素だけでなく、
他の汚染物質も取り込んでしまうためpHが5.6よりも下の値になります。

 

つまり酸性雨は大気汚染によって引き起こされる雨ということ。

 

ですので空気中に汚染物質があまり存在しない場合は、
雨が酸性雨になってしまうということはまずありません。

 

 

ちなみに酸性の雨があるのですから、他にも酸性の雪や酸性の霧なんかも存在します。

 

これらの酸性の雪や霧も含めて酸性雨と呼んでいます

 

では酸性雨は大気汚染によって引き起こされるものだと言いましたが、
次の章で酸性雨の原因についてどのようなものか具体的に説明していきますね。

 

2.酸性雨の原因とは?

では酸性雨の原因について見ていきましょう。

 

結論から言ってしまうと酸性雨になってしまう主な原因は、
化石燃料を燃やしたことによって発生する二酸化硫黄(SO2)と窒素酸化物(NOx)によるものです。

 

化石燃料とは簡単に言えば、様々なものを動かすためのエネルギーになるものです。

 

その化石燃料が燃やされることによって、
大気中に二酸化硫黄や窒素酸化物が放出されます。

 

大気中に放出されたこれらの汚染物質は、
大気中の紫外線・酸素・水などと反応することで硫酸や硝酸に変化します。

 

そしてその硫酸や硝酸が降ってきた雨水と混ざることで、酸性雨になってしまうというわけです。

 

また二酸化硫黄や窒素酸化物自体が雨の核になる可能性もあります。

 

雨が降る仕組みについて詳しくは下記をご覧ください。

 

なので化石燃料をより使用している地域、
例えば都市部や工業地帯では酸性雨が深刻な問題となっています。

 

都市部ではたくさんの人が車を使うため車からの排気ガスが多くなり、
工業地帯では工場設備を動かすエネルギーとして化石燃料が多く燃やされていますからね。

 

 

しかし都市部や工業地帯の方が酸性雨で問題となっていますが、
化石燃料を多用している地域だけが問題となっているのではありません。

 

酸性雨の原因となる汚染物質は非常に小さいものです。

 

ですので少し風が吹けばその汚染物質が発生した場所から
他の地域に飛んでいってしまいます

 

だから化石燃料をあまり使用していない地域にも汚染物質は飛来するため、
酸性雨は世界中で大きな環境問題になっているんですね。

 

 

では次の章で酸性雨が降るとどのような影響があるのか説明していきますね。

 

3.酸性雨による影響について

さて前の章で酸性雨とその原因について説明してきましたが、
ここからは酸性雨によって一体どのような影響があるのか説明していきます。

 

酸性雨によって発生すると言われている影響は以下の通りです。

  • 海や川、湖沼への影響
  • 森林や土壌への影響
  • 建物などへの影響
  • 人体への影響

 

では酸性雨によって発生する上記の影響についてそれぞれ見ていきましょう。

 

海や川、湖沼への影響

酸性雨が降ることで海や川、湖沼などに酸性の雨水が流れ込みます。

 

そして河川や湖沼のpHが4.5以下になってしまうと
魚が生存できなくなると言われています

 

細かく説明してしまうと長くなるので省きますが、
水質が酸性化してしまうと魚は体内の塩分を失い体液濃度が低くなり死に至ります

 

魚だけでなく人間にとっても体液濃度というのはとても重要で、
体液濃度が低すぎたり高すぎたりすると体の機能に様々な問題が生じます。

 

このように海や川、湖沼に酸性雨が降り注ぎ、
水が酸性化してくると水中の生態系が崩壊する可能性が高くなります。

 

森林や土壌への影響

ほとんどの酸性雨は土壌に吸収されていきますが、
土壌に吸収されることで植物に悪影響を及ぼします。

 

土壌にはミネラル(鉱物)がいくらか含まれていて、
その中には植物にとって有害なアルミニウムも存在します。

 

土壌に酸性雨が吸収され酸性になることによって、
土の中に含まれていたアルミニウムが酸性雨に溶出します。

 

そして有害なアルミニウムを含んだ雨水が
植物の根から吸収されてしまいます

 

その有害なアルミニウムを含んだ雨水を吸収した植物は、
弱っていき最終的には枯れてしまうんですね。

 

土壌が酸性にならなければ有害なアルミニウムが
溶出して植物に吸収されるということにもなりません。

 

また特に酸性が高い酸性雨の場合は、
植物の葉にその雨水が当たるだけで時間が経つと枯れていくことがあります。

 

建物などへの影響

酸性雨はその名のとおり酸性の雨のことです。
ですので酸性雨は金属を溶かします。

 

溶かすと言ってもドロドロに溶かすわけではなく、
酸性雨に当たった金属の表面を少しずつ腐食・サビさせていきます

 

銅像などの表面が溶けて変な模様みたいになっているのを見たことがないでしょうか?

 

あれは酸性雨による影響なんですね。

 

また金属以外にコンクリートや大理石にも影響を与え、
それらが溶けたり、もろくなりやすくなり風化が早く進んでしまいます。

 

人体への影響

酸性雨の人体への影響としては、目や皮膚などへの刺激となります。

 

特に酸性が強い酸性雨が降っている地域では、
住民が目や鼻などに雨が当たることで刺激があったという報告があります。

 

ですので、できる限り直接雨に当たらないことを心がけるようにしましょう。

 

 

さらに酸性雨が土壌に吸収されたり河川や湖沼に流れることで、
私たちが普段から飲んでいる飲料水に混ざる可能性もあります。

 

土壌に吸収された酸性雨は土壌中のアルミニウムを溶出したり、
他にも金属を溶かした酸性雨が地下水や河川などに流れていきます。

 

そしてその汚染された水が飲料水に混じり知らずに飲み続けると、
アルミニウムなどの化学物質がアルツハイマー病を引き起こすと言われています。

 

 

以上が「酸性雨とは?また酸性雨の原因とその影響は何なのか?」でした。

 

 

4.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • 酸性雨とは、空気中に存在する汚染物質を取り込んで酸性になった雨のこと。
  • 酸性雨の主な原因は、化石燃料を燃やすことで発生する二酸化硫黄と窒素酸化物が雨に混ざるから。

<酸性雨による影響は下記の通り>

  • 海や川、湖沼への影響⇒水中の生態系が崩壊する
  • 森林や土壌への影響⇒土壌に吸収され植物が枯れてしまう
  • 建物などへの影響⇒金属やコンクリートなどが溶けてもろくなる
  • 人体への影響⇒飲料水に混じり飲むことでアルツハイマー病などの病気になる危険性がある

 

 

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