このページでは天王山の読み方と意味、「てんのうざん」と「てんおうざん」どちらが正しいのかを解説しています。

 

 

 

1.天王山の正しい読み方は「てんのうざん」「てんおうざん」?

 

結論から言ってしまうと、天王山の正しい読み方は「てんのうざん」になります

 

天王山の”天”は「あま」「てん」、”王”は「おう」、”山”は「やま」「さん」(連濁により「ざん」)と読むことができますが、天王山を「てんおうざん」と読むのは間違いです。

 

(連濁とは、2つの語が結びついて1つの語になるときに、発音しやすくするために、後ろの語の語頭が清音から濁音に変化する現象のこと)

 

 

 

天王の”王”の読み方は「おう」と読むことはできますが、
もともとそれ単体では「のう」という読み方をすることはできません。

 

天王のように「てんおう」ではなく、「てんのう」と変化して読むのは、日本語の「連声(れんじょう)」と呼ばれているものです

 

 

連声とは、”ア行(母音)・ヤ行・ワ行で始まる語が、「m」「n」「t」を末尾に持つ語に結びついたとき、発音しやすくするために、後ろの語(ア行・ヤ行・ワ行で始まる語)の語頭がマ行・ナ行・タ行の音に変化する現象のこと”を言います。

 

 

天王(てんのう)であれば、天(てん)[ten](「n」を末尾に持つ語)+王(おう)[ou](ア行で始まる語)なので、王(おう)[ou](後ろの語)の語頭である”お”がナ行の音である”の”に変化します。

 

・天(てん)[ten] + 王(おう)[ou] → 天王(てんのう)[tennou]

 

 

 

例えば「三位(さんみ)」や「銀杏(ぎんなん)」は連声なしで読むと、
「さんい」や「ぎんあん」と読むのが普通です。

 

・三(さん)[san] + 位(い)[i] → 三位(さんみ)[sanmi]

 

・銀(ぎん)[gin] + 杏(あん)[an] → 銀杏(ぎんなん)[ginnan]

 

もともと”位”には「み」という読み方はないですし、”杏”にも「なん」という読み方は存在しません

 

 

ですが日本語では連声によってマ行・ナ行・タ行の音に変化するため、
「三位(さんみ)」「銀杏(ぎんなん)」と変化させて読んでいるのです。

 

ただすべての言葉が連声によって、マ行・ナ行・タ行の音に変化するわけではないので注意してください。

 

 

次の章で天王山の意味と類義語について解説していきます。

 

2.天王山の意味と類義語について

 

天王山は「京都府南部、乙訓郡大山崎町(おとくにぐんおおやまざきちょう)にある小丘のこと/(転じて)勝敗や運命の重大な分かれ目のこと」の意味として用いられています。

 

後者の意味は、豊臣秀吉が天王山を先に占領したことにより、明智光秀との戦いに勝利したことから転じた意味になります。

 

 

 

天王山を用いた例文としては、「明日の試合が天王山と言える」や、
「この試練は参加者にとっての天王山だ」のような使い方で用いられています。

 

どちらの例文も「勝敗や運命の重大な分かれ目のこと」の意味で使用しています。

 

 

 

また天王山の類義語としては、「岐路(きろ)・関頭(かんとう)・鍔際(つばぎわ)・山場(やまば)」などの言葉が挙げられます

 

どの言葉についても天王山と意味は似ていますが、まったく同じ意味ではないので注意してください。

 

 

以上が「天王山の読み方と意味、”てんのうざん”と”てんおうざん”正しいのは?」でした。

 

 

3.まとめ

これまで説明したことをまとめますと、

  • 天王山の正しい読み方は「てんのうざん」で、「てんおうざん」は間違い。
  • 天王山は「京都府南部、乙訓郡大山崎町にある小丘のこと/勝敗や運命の重大な分かれ目のこと」の意味。
  • 天王山の類義語には、「岐路・関頭・鍔際・山場」などがある。

 

 

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