さて日常的に使われることはほとんどないですが、「殿上人」という言葉があります。
この殿上人に用いられている漢字自体はさほど難しくないですが、
殿上人がどの読み方なのか悩んだことがあるという人も多いですよね。
そこでこのページでは殿上人の読み方と意味、「てんじょうびと」と「てんじょうにん」どちらが正しいのかを解説します。
どうぞご覧ください。
1.殿上人の正しい読み方は「てんじょうびと」「てんじょうにん」?
では殿上人の正しい読み方は、「てんじょうびと」「てんじょうにん」どちらなのかを見ていきましょう。
結論から言ってしまうと、殿上人の正しい読み方は「てんじょうびと」になります。
殿上人の”殿”は「との」「でん」「てん」、”人”は「ひと」「じん」「にん」と読むことができますが、殿上人は「てんじょうびと」と読むのが正しく、「てんじょうにん」と読むのは間違いです。
また”人”の読み方は「ひと」と読むことはできますが、
もともとそれ単体では「びと」という読み方をすることはできません。
殿上人のように「てんじょうひと」ではなく、「てんじょうびと」と濁って読むのは、日本語の「連濁(れんだく)」と呼ばれているものです。
連濁とは、”2つの語が結びついて1つの語になるときに、発音しやすくするために、後ろの語の語頭が清音から濁音に変化する現象のこと”を言います。
殿上人であれば、殿上(てんじょう)+人(ひと)なので、人(後ろの語)の語頭である清音の”ひ”が濁音の”び”に変化します。
例えば「手紙(てがみ)」や「綿毛(わたげ)」は連濁なしで読むと、
「てかみ」や「わたけ」と読むのが普通です。
もともと”紙”には「がみ」という読み方はないですし、”毛”にも「げ」という読み方は存在しません。
ですが日本語では連濁によって後ろの語頭が清音から濁音に変わるため、
「手紙(てがみ)」「綿毛(わたげ)」と濁らせて読んでいるのです。
ただすべての言葉が連濁によって濁音に変化するわけではないので、注意してください。
次の章で殿上人の意味と類義語について解説していきます。
2.殿上人の意味と類義語について
では殿上人の意味と類義語について見ていきましょう。
まず殿上人は「清涼殿の殿上の間に昇ることを許された者のこと」の意味として用いられています。
清涼殿というのは天皇の日常生活の場であり、位が上の人しか昇段することを許されていませんでした。
また殿上人の類義語としては、「貴族(きぞく)・公家(くげ)・蔵人(くらうど)・雲上人(うんじょうびと)」などの言葉が挙げられます。
どの言葉についても殿上人と意味は似ていますが、まったく同じ意味ではないので注意してください。
以上が「殿上人の読み方と意味、”てんじょうびと”と”てんじょうにん”正しいのは?」でした。
3.まとめ
これまで説明したことをまとめますと、
- 殿上人の正しい読み方は「てんじょうびと」で、「てんじょうにん」は間違い。
- 殿上人は「清涼殿の殿上の間に昇ることを許された者のこと」の意味。
- 殿上人の類義語には、「貴族・公家・蔵人・雲上人」などがある。